セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 2

タイトル 外P-128:

CA19-9上昇で発見された異所性膵癌の1切除例

演者 岡田 和幸(神戸市立医療センター中央市民病院・外科)
共同演者 八木 眞太郎(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 山本 健人(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 井ノ口 健太(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 姚 思遠(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 光岡 英世(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 三木 明(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 瓜生原 健嗣(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 貝原 聡(神戸市立医療センター中央市民病院・外科), 細谷 亮(神戸市立医療センター中央市民病院・外科)
抄録 【はじめに】今回,われわれは空腸起始部の異所性膵由来の腺癌の一切除例を経験したので報告する.【症例】71歳,男性.2012年1月の検診にてCA19-9の軽度高値(82U/ml)を指摘された.同年4月の再検査では370U/mlとさらに上昇を認めたため,精査加療目的に当院に紹介となった.腹部造影CTで空腸起始部に造影効果の乏しい腫瘤性病変を,腹部MRIでTreitz靭帯近傍の空腸起始部に25mm大のT1,T2強調像でともに低信号,diffusionで高信号を示し,MRCPで内部に嚢胞・膵管に類似した管腔構造を有する腫瘤性病変が指摘されたが,上部消化管内視鏡では空腸中下部まで観察するも明らかな粘膜病変を認めなかった.以上より鑑別診断として異所性膵の膵癌,GIST,平滑筋肉腫,悪性リンパ腫を考え,2012年5月に開腹手術を行った.開腹所見はTreitz靭帯の7cm肛門側の空腸腸間膜対側の壁在性に3cm大の白色で弾性硬の腫瘤を認めた.空腸起始部の空腸部分切除術を施行した.第一空腸動脈を根部で切離し,リンパ節郭清を行った.術後第12日目に一過性の吻合部通過障害を認めたが,保存的加療にて軽快し第22病日に退院となった.病理組織学的検査では異所性膵に発生した腺癌: 4×3.5cm,tub1>muc,PM0,DM0,v1,ly1,f SS,N0,M0であり,術前のMRI/MRCPの所見同様に,異所性膵に嚢胞・導管を認めた.術後のCA19-9値は正常化した.同年7月より術後補助化学療法としてGEMを6ヶ月施行し,今のところ明らかな再発なく経過している.【結語】異所性膵由来の膵癌は極めて稀であり報告例も少ない.今回我々は検診を契機に発見され,術前MRI/MRCPが診断に有用であった異所性膵癌の一切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 異所性膵, 膵癌