セッション情報 |
ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫
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タイトル |
内W10-8:患者に優しい大腸内視鏡検査時の前処置:錠剤型洗腸剤の受容性と洗浄効果
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演者 |
辻 陽介(NTT東日本関東病院・消化器内科) |
共同演者 |
大圃 研(NTT東日本関東病院・消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】大腸がん増加とともに全大腸内視鏡検査の重要性も増しているが、検査時の前処置負担軽減は依然重要なテーマである。今回我々は現在広く行われているPEG(polyethylene glycol)法と錠剤型腸管洗腸剤法を比較し、患者受容性と洗浄効果について検討した。【方法】現在当院では新組成錠剤型洗腸剤(NaP)のPEG法に対する腸管洗浄度・患者受容性前向き比較試験(UMIN000005385)を行っている。対象は20歳以上75歳以下の大腸内視鏡検査を受ける患者で、除外基準は以下の通り:1)薬剤添付文書禁忌事項該当者2)重度の便秘3)消化管手術既往4)妊婦、授乳期の女性及び妊娠可能性のある女性、またNaP群では65歳以上で高血圧治療を行っている者。エントリーした患者をNaP群・PEG群に割り付けし、内視鏡施行医による腸管洗浄度評価・患者アンケートによる受容性評価を行う。今回、2012年3月時点での中間解析を行った。【成績】現時点で217名(NaP 109名/PEG 108名)を集計し、両群の平均年齢・男女比・平均身長・平均体重に有意差はなかった。受容性について「受け入れられる」「まあ受け入れられる」を受容群、「少し受け入れがたい」「受け入れがたい」を非受容群とすると、受容群の割合はNaP:82.6%(90/109)、PEG:79.6%(86/108)で有意差はなかった(P=0.58)。しかしNaP群の中で過去にPEG製剤内服経験のある者66名に次回希望製剤アンケートを行うと1)NaP希望33名(50%)2)PEG希望18名(27.3%)3)どちらでもよい12名(18.2%)でNaP希望率が高かった。腸管洗浄度については5段階評価の上位2段階を良好な洗浄とし、良好な洗浄はNaP:91.7%(100/109)、PEG:76.6%(82/107)でNaP群で有意に洗浄度が高かった(P=0.002)。現時点で両群ともに重篤な有害事象は発生していない。【結論】NaPによる大腸内視鏡前処置は患者受容性が高く腸管洗浄力も優れていた。ただし、NaPの高血圧高齢者への使用は禁忌であることに十分留意しなければならない。 |
索引用語 |
大腸内視鏡前処置, 受容性 |