セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 2

タイトル 外P-130:

集学的治療により長期生存が得られている膵神経内分泌腫瘍の2例

演者 山下 博成(神戸大・肝胆膵外科)
共同演者 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大・肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大・肝胆膵外科), 後藤 直大(神戸大・肝胆膵外科), 椋棒 英世(神戸大・肝胆膵外科), 白川 幸代(神戸大・肝胆膵外科), 田中 正樹(神戸大・肝胆膵外科), 岩崎 寿光(神戸大・肝胆膵外科), 石田 潤(神戸大・肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大・肝胆膵外科), 高橋 応典(神戸大・肝胆膵外科), 岡崎 太郎(神戸大・肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大・肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科)
抄録 膵神経内分泌腫瘍(pNET)は,通常型膵癌と比較して進行が緩徐であり,再発例には外科切除,TACEなどの局所療法,全身化学療法,分子標的療法などさまざまな治療が存在する.再発例の標準治療は確立されておらず,治療選択に難渋することも稀ではない.今回我々は,集学的治療により再発後も長期生存が得られている2症例を報告する.
【症例1】50歳代,男性.膵尾部腫瘍破裂のため膵体尾部切除術を施行.2010年WHO分類でNET G2の非機能性腫瘍であった.術後63ヶ月で腹膜転移に対して腫瘍切除術,76ヶ月で肝転移に対して肝切除術を施行.その後も肝転移・腹膜転移再発を繰り返し,外科切除を計6回行い,TACE,肝動注療法,全身化学療法により集学的治療を行った.初回手術後16年より分子標的薬を導入.sunitinibでPDとなった後,everolimus投与を継続し,19年経過した現在も生存中である.
【症例2】30歳代,男性.膵尾部腫瘍に対して膵体尾部切除術を施行.2010年WHO分類でNET G2の非機能性腫瘍であった.術後12ヶ月,21ヶ月で肝転移に対してそれぞれ肝切除術を施行したが,再度肝転移が出現し,初回手術後36ヶ月で脳死全肝移植を施行された.その後も腹腔内リンパ節,肺の転移再発に対してそれぞれ外科切除を行ったが,肝転移・縦隔リンパ節転移が認められ,初回手術後67ヶ月よりルテチウムによるPeptide Receptor Radionuclide Therapy(PRRT)を計3回施行.PRRT後も気管分岐部リンパ節転移に対して摘出術を行ったが,病勢進行は緩徐であり,初回手術より7年経過した現在も生存中である.
【結語】再発性pNETに対し,いずれも積極的な外科切除が有用であり,症例2は肝移植やPRRTも長期生存の一因と考えられる.分子標的薬の役割が大きくなった現状ではあるが,外科切除に加えて多様な治療を組み合わせることが,再発性pNETの治療において肝要である.
索引用語 膵神経内分泌腫瘍, 集学的治療