セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 3

タイトル 外P-133:

慢性膵炎を契機に発見された膵上皮内癌の一例

演者 土屋 勝(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科)
共同演者 金子 弘真(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 前田 徹也(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 石井 淳(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 尾作 忠知(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 鏡 哲(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 大塚 由一郎(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 田村 晃(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 久保田 喜久(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 片桐 敏雄(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 吉野 翔(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 三村 享彦(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 岡野 直樹(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 根本 哲夫(東邦大医療センター大森病院・病院病理科), 渋谷 和俊(東邦大医療センター大森病院・病院病理科)
抄録 【はじめに】通常型膵管癌は,発見時には進行癌であることがほとんどである.しかしながら,近年の診断技術の向上により,膵上皮内癌の報告が散見されるようになった.今回われわれは,アルコール性慢性膵炎の経過中,慢性膵炎による膵管狭窄を契機に発見された膵上皮内癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】65歳,男性.アルコール性慢性膵炎の急性憎悪を繰り返し治療中に,ERCPにて膵頭部の主膵管狭窄臓像および末梢膵管の拡張を認め,慢性膵炎による変化と判断し膵管ステントを定期的に交換していた.腹部CTでは明らかな腫瘤像は認めなかった.ステント閉塞による再入院時,膵液細胞診にてclass3b,擦過細胞診にてclass5,腺癌と診断され手術目的に外科に転科となった.再検した腹部CTにおいて腫瘤像はやはり確認できなかったが,腹部超音波にて膵頭部は周囲膵実質よりも低エコーが強く33mm大の腫瘤様にも取れる所見であった.以上より膵頭部癌の診断にて幽門輪温存膵頭部十二指腸切除術を施行した.開腹所見では膵頭部に硬い腫瘤を触知したが,周囲臓器や脈管への浸潤は認めなかった.病理はTis, ly0,v0,n0,Stage0で胆管や十二指腸への浸潤はいずれもなかった.術前に低エコー領域として認め,術中に触知した硬い腫瘤は慢性膵炎による繊維組織の増生によるものであった.術後経過は重篤な合併症なく第34病日目に退院となった.手術後3カ月現在再発兆候は認めていない.【結語】膵上皮内癌症例は特異的な症状を呈することがほとんどなく早期発見が困難である.しかし,少しでも悪性の疑いがある場合は早期発見を目指し十分に精査を行い,その上で適切な根治切除を行うことで治療成績の向上に結びつくと考えられた.
索引用語 膵上皮内癌, 慢性膵炎