セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 3

タイトル 外P-136:

膵頭十二指腸切除後膵空腸吻合を端側陥入法で行った2例

演者 風呂井 彰(霧島市立医師会医療センター)
共同演者 久米村 秀(霧島市立医師会医療センター), 本高 浩徐(霧島市立医師会医療センター), 井上 真岐(霧島市立医師会医療センター), 二渡 久智(霧島市立医師会医療センター), 門野 潤(鹿児島大大学院・心臓血管・消化器外科学), 井本 浩(鹿児島大大学院・心臓血管・消化器外科学)
抄録 陥入法による膵胃吻合は,膵頭十二指腸切除(PD)後の膵再建法として,その簡便性・安全性は高く評価されており,我々も以前から採用している再建法である.今回我々は膵胃吻合が不可能な症例に対して,この嵌入法を応用した膵空腸端側吻合を行い,良好な術後経過を得た2例を経験したので報告する.(症例1)83歳,男性.自覚症状は無かったが腹部超音波検査で胆管拡張を指摘され精査の結果下部胆管癌と判明. H23年2月PD施行.H13年胃癌で胃全摘の既往あり.(症例2)77歳,男性.黄疸を主訴に紹介され精査の結果,下部胆管癌と判明.H24年2月PD施行.H8年食道癌で食道亜全摘,胃管再建の既往あり.(手術手技)いずれの症例もPD術後の膵胃吻合は不可能で,陥入法による膵胃吻合のコンセプトを応用し,陥入法による膵空腸吻合を施行した.拳上空腸断端から約3-5cmの腸間膜対側の空腸に膵体部断端横径2/3程横切開を加え,約1.5cm剥離した膵断端を陥入させ,膵実質と空腸全層の結節縫合(全周計8針)を行った.なお,膵管チューブによる完全外瘻も併施した.術後,膵空腸吻合近位に置いたドレーンアミラーゼは症例1,2それぞれ術後1日目174mg/dl,891mg/dl,4日目12mg/dl,51mg/dlで膵液漏は無く,ドレーンはいずれも術後4日目抜去した.(考察)PD後の膵空腸再建で多用されている膵空腸貫通密着吻合(柿田法)は繊細な手技を要する膵管空腸粘膜吻合が含まれ決して簡便とは言えない.また膵空腸陥入法はこれまで端々で行われ,口径の不一致,断端の血流不全などで膵液漏が少なくなく標準的再建法とはなっていない.我々が今回行った膵空腸端側陥入法は膵断端を単に空腸側面に陥入し固定するだけの簡便な方法で,膵胃吻合陥入法のコンセプトを応用した方法であり,手技的にも容易で,膵断端径に応じた切開が可能であり血流不全の懸念も少なく,PD後の膵空腸再建に有用な手技となる可能性が示唆されるものと思われる.
索引用語 膵空腸吻合, 端側陥入法