セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-手術治療 1

タイトル 外P-139:

急性虫垂炎の治療方針を考える-腹腔鏡下虫垂切除術の経験より-

演者 豊田 暢彦(益田赤十字病院・外科)
共同演者 大井 健太郎(山陰労災病院・外科), 福田 健治(山陰労災病院・外科), 山根 祥晃(山陰労災病院・外科), 野坂 仁愛(山陰労災病院・外科)
抄録 【目的】内視鏡外科手術の進歩はめざましく,今や消化器外科領域においても標準手術となりつつある.今回,消化器外科手術のうち,比較的頻度の高い急性虫垂炎に腹腔鏡下虫垂切除術(以下,LA)を導入し,その経験から急性虫垂炎の治療方針を検討した.【対象と方法】2010年より導入し2012年までに経験したLA施行92例(LA群)と同時期およびLA導入以前に開腹虫垂切除術を施行した50例(開腹群)を対象とし,各群における手術時間,術後歩行開始および経口摂取開始日数,術後合併症,術後在院日数を比較検討した.【結果】患者背景は両群間で差はなかった.手術時間はLA群で54.5±18.2分,開腹群で40.2±10.6分とLA群で長かった.しかし,LA群では開腹移行例はなく,開腹群で5例(10%)に創の延長を行った.術後の歩行開始はLA群で1.8±0.5日,開腹群で2.1±0.8日,経口摂取開始はLA群で1.2±0.6日,開腹群で1.8±1.0日といずれもLA群で早かった. 術後合併症はLA群で5例(5.4%),開腹群で8例(16%)とLA群で有意に少なかった.内訳はLA群でSSI4例,ダグラス窩膿瘍1例に対し,開腹群ではSSI6例,イレウス2例であった.術後在院日数はLA群で3.6±1.5日,開腹群で5.2±2.4日とLA群で短かった.【急性虫垂炎の治療方針】以上より当科の急性虫垂炎の治療方針として以下のように考える.1.臨床上急性虫垂炎と診断すれば原則手術を推奨する.2.術式はLAを第一選択とし,汎発性腹膜炎を併発の場合は開腹術を選択し,回盲部以外に著明な膿瘍形成のある場合には経皮的ドレナージを先行しInterval LAを考慮する.3.手術時期は早期の手術を原則とするが,夜間は行わずに翌日に行う.【考察および結語】LAは全身麻酔が必須で,手術手技の習得も必要であるが,それ以上に開腹術に比べて患者の術後のADLの向上および整容性にメリットが多い.今後もLAを第一選択として症例を集積していきたい.
索引用語 急性虫垂炎, 治療方針