セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-手術治療 1

タイトル 外P-141:

当院における後腹膜脂肪肉腫症例の検討

演者 中山 俊二(神戸海星病院・外科)
共同演者 金田 邦彦(神戸海星病院・外科), 三浦 由紀子(神戸海星病院・外科), 三田 陽子(神戸海星病院・外科), 川口 勝徳(神戸海星病院・外科)
抄録 【はじめに】後腹膜脂肪肉腫は比較的稀な悪性腫瘍であり,局所再発率が高く,一般的に予後不良である.当院にて経験した後腹膜脂肪肉腫症例について,初回手術術式,他臓器合併切除の有無,再発形式,再発までの期間,転帰などについて検討した.【症例】2006年から2013年まで,当院で経験した後腹膜脂肪肉腫症例は7例で,合計19回(他院も含めると1997年からで,31回)手術を施行した.3例は当院にて初回から切除術を行っており,残り4例は他院で切除術後の再発症例であった.【結果】初回手術時5例に他臓器合併切除を施行,その内訳は腎臓3例,外腸骨動静脈,尿管,S状結腸,脾臓がそれぞれ1例であった.2例は腫瘍のみの切除が可能であった.再発は7例中5例に認められ,いずれも局所再発であり,全例に再切除を施行した.平均5.8回(4-8回)切除術を行い,前回手術から次回切除術までの期間は,平均14.3ヶ月(6-46ヶ月)であった.再発手術時の合併切除臓器は,膵臓,肝臓,横隔膜,膀胱,小腸,結腸,胆嚢,肋骨,胃であった.初回手術後,平均観察期間は62.3ヶ月(5-134ヶ月)であった.最終手術後,現在まで追跡中の症例は5例で,全例生存中である.【考察】後腹膜脂肪肉腫は,腫瘍径が大きいこと,被膜が偽被膜であること,大血管や腎臓などの重要臓器が隣接することなどにより,組織学的に完全切除することが難しく,局所再発率が高い.また,再発症例では癒着や腫瘍が複数見られるなどにより,手術の難易度が上がり,完全切除がより困難となる.本検討では7例中5例に初回手術時に他臓器合併切除を施行しており,初回手術時,巨大腫瘍に巻き込まれている臓器は合併切除を考慮する必要があり,特に腎臓摘出の適応を判断しておくべきである.今回の検討では,再発を繰り返すたびに次回再発までの期間が短縮するという傾向は見られず,また,多発再発であっても積極的に再切除することで予後を改善する可能性があると思われた.高い再発率を考慮し,画像診断による厳重な経過観察が必要と考えられた.
索引用語 後腹膜脂肪肉腫, 脂肪肉腫