セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-手術治療 1

タイトル 外P-142:

腹部救急疾患における腹腔鏡手術の応用

演者 佐近 雅宏(岡谷市民病院・外科)
共同演者 三輪 史郎(岡谷市民病院・外科), 荒居 琢磨(岡谷市民病院・外科), 百瀬 芳隆(岡谷市民病院・外科), 澤野 紳二(岡谷市民病院・外科)
抄録 腹部手術での腹腔鏡手術は様々な疾患に使用されるようになってきており,緊急手術症例においても応用が広がってきていると考えられる.緊急手術症例であっても腹部膨満が著明でない症例においては,まず腹腔鏡下手術でアプローチしている.2010年7月から2012年12月までに当科では全身麻酔下の緊急手術を128例に施行した.そのうちで腹腔鏡手術による緊急手術を67例に施行した.対象の平均年齢は50.8歳で,急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術を18例に,急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術を37例に,十二指腸潰瘍穿孔に対する腹腔鏡下大網充填被覆術を3例に,絞扼性イレウスを含めた腹腔鏡下イレウス解除術を4例に,腸重積に対する腹腔鏡下盲腸切除術を2例に,鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡補助下手術を2例に,腹腔鏡観察を1例に施行した.手術時間は平均82分,出血量は平均34ml,術後食事開始は平均2.6病日,術後在院期間は平均7.7日であった.開腹コンバート症例は急性胆嚢炎の3例と急性虫垂炎の2例の合計5例で7.4%であった.術後合併症は急性虫垂炎術後の遺残膿瘍が1例と急性胆嚢炎術後の腹腔内膿瘍の1例の合計2例,2.9%であった.緊急手術においては,救命することが第一であり,安全第一に手術を行うことが大切であるが,その中でうまく腹腔鏡手術を応用できれば低侵襲性を生かすことができると考える.困難症例では視野確保のための port追加などの工夫により,腹腔鏡下での手術が可能となる場合もある.患者の術前状態を見極め,腹部救急疾患に対しても安全に腹腔鏡下手術を施行していきたいと考える.
索引用語 緊急手術, 腹腔鏡