セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)その他-集学的治療 |
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タイトル | 外P-149:腹部固形癌に対する粒子線とスペ-サー外科手術を用いた治療限界の克服 |
演者 | 木下 秘我(神戸大・肝胆膵外科) |
共同演者 | 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 宗 慎一(神戸大・肝胆膵外科), 浦出 剛史(神戸大・肝胆膵外科), 福島 健司(神戸大・肝胆膵外科), 中馬 正志(神戸大・肝胆膵外科), 小松 昇平(神戸大・肝胆膵外科), 蔵満 薫(神戸大・肝胆膵外科), 田中 基文(神戸大・肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大・肝胆膵外科), 高橋 応典(神戸大・肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大・肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大・肝胆膵外科), 岡崎 太郎(神戸大・肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大・肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科) |
抄録 | 【背景】従来の放射線治療と比較し粒子線治療はBragg-Peakによる高い線量集中性を示すため,根治性とともに副作用の軽減が期待できる.しかし腹部悪性腫瘍では近接する消化管の耐容線量が低く腸管穿孔等のリスクを伴うため,粒子線治療の適応は限定的であった.我々は2006年より外科手術と粒子線治療を融合させた新しい2段階治療を考案し腹部悪性腫瘍に対する臨床I, II相試験を実施したので,現時点での成績を報告する.【対象】2006年9月から2008年8月までに2段階治療を行なった切除不能腹部悪性腫瘍51例を対象とした.疾患の内訳は肝細胞癌4例,肝門部胆管癌3例,胆嚢癌1例,転移性肝癌1例,膵癌3例,直腸癌局所再発8例,仙骨悪性腫瘍15例,婦人科領域癌4例,腹腔内軟部腫瘍10例,腹腔内転移性腫瘍2例であった.【方法】腹部CT,MRI上で粒子線照射計画を実施し,腫瘍と腸管との距離が1.0cm以上確保できない場合,第一段階の治療としてスペーサーを開腹下で留置し,計画標的体積外に腸管を完全に圧排した.手術術式はゴアテックスシート留置術が44例,大網もしくは間膜充填4例,人工肛門造設3例であった.第二段階の治療として粒子線照射(50-84GyE/4-38Fr)を施行した.【結果】2段階治療を施行した全51例で根治的粒子線照射が可能で照射部位の局所コントロールは良好であった.合併症としては十二指腸穿孔1例,術中腸管損傷・人工肛門造設が2例であった.その他,2例でスペーサーのmalpositionを認めた.【結語】粒子線とスペ-サー外科手術による2段階治療は切除不能腹部難治癌に残された根治的な局所治療となり得る可能性が示唆された.今後組織適合性のある吸収性スペーサ-や新たな照射プログラムの開発などの課題が残されているが,切除不能腹部癌に対する新戦略として期待される. |
索引用語 | スペーサー, 粒子線治療 |