セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-集学的治療

タイトル 外P-151:

癌性胸腹水に対するレンチナン+OK-432による胸腹内免疫療法の基礎的および臨床的検討

演者 吉野 茂文(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 吉村 清(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 鈴木 伸明(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 前田 祥成(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 渡邊 裕策(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 新藤 芳太郎(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 井上 由佳(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 松井 洋人(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 硲 彰一(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【目的】癌性胸腹水は,消化器癌患者のQOLを著しく損なうためそのコントロールは重要である.特に抗癌剤耐性後の治療には難渋するが,免疫療法は副作用が少なくQOLを損なうことなく行える治療法である.今回,免疫療法剤レンチナン(LNT) およびOK-432のヘルパーT細胞(Th)バランス(Th1/2)に及ぼす影響を基礎的に検討し,癌性胸腹水に対するLNT + OK-432胸腹内投与の臨床的検討を行った.基礎的検討:【対象と方法】消化器癌患者10例にLNT2mgを週3回静脈内投与し,LNT投与前後の末梢血にOK-432を0.1KE/ml添加し24時間の全血培養を行った.培養上清中のIL-12 (p70), IL-10をELIZA法で測定した.【結果】LNT投与後のOK-432添加全血培養では4例においてTh1であるIL-12 (p70)が20pg/ml以上に上昇し,3例においてIL-10 (Th2)が低下した.臨床的検討:【対象と方法】化学療法耐性の癌性胸腹水24例25病巣(胃癌19,大腸癌2,食道癌2,その他2病巣)に対しLNT 2mg,続いて24時間後にOK-432を1~10KE 胸腹腔内に投与した.これを1コースとし週1回の間隔で継続した.【結果】25病巣中6病巣で胸腹水の完全消失,14病巣で減少を認め有効率は80%であった.治療回数は1回が12,2回が7,3回が6病巣であった.胸腹水中のIL-12 (p70),IFN-γはLNT投与前後では変動がないものの,OK-432投与後に上昇した.特にIFN-γは有効例で20pg/ml以上に上昇し,IL-10は抑制されていた.無効例では治療後のIL-12 (p70),IFN-γは5pg/ml以下と低値であり,IL-10は高値であった.化学療法耐性症例が対象のためMSTは3.5ヶ月と短かったが,重篤な副作用はなく有効例においては全例にQOLの改善が認められた.【結語】本療法は化学療法耐性の癌性胸腹水に対して有効な治療法であった.また本療法の有効例では,IL-12 (p70),IFN-γ(Th1)が上昇し,IL-10 (Th2)が抑制されTh1/2が上昇することが示唆された.
索引用語 癌性腹水, 免疫療法