セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-周術期管理 1

タイトル 外P-156:

肝胆膵領域における術後細菌感染症マーカーとしての血清プロカルシトニン値の可能性

演者 大澤 一郎(三重大・肝胆膵・移植外科)
共同演者 岸和田 昌之(三重大・肝胆膵・移植外科), 熊本 幸司(三重大・肝胆膵・移植外科), 飯澤 祐介(三重大・肝胆膵・移植外科), 佐藤 梨枝(三重大・肝胆膵・移植外科), 高橋 直樹(三重大・肝胆膵・移植外科), 種村 彰洋(三重大・肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大・肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大・肝胆膵・移植外科), 水野 修吾(三重大・肝胆膵・移植外科), 臼井 正信(三重大・肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大・肝胆膵・移植外科), 田端 正己(三重大・肝胆膵・移植外科), 和田 英夫(三重大・臨床検査医学), 伊佐地 秀司(三重大・肝胆膵・移植外科)
抄録 【目的】肝胆膵および肝移植術後のプロカルシトニン (PCT) 値を継続的に測定し,細菌感染症のカットオフ値を検討するとともに,術後のPCT測定意義を検討する.【方法】待機手術を行った膵頭十二指腸切除(PD)7例,区域以上の肝切除(LR)6例,肝移植(LT)2例の計15例を対象に,術前と術後1・2・3・4・7日目にPCT値を含めた血液検査(白血球・CRP)を実施するとともに,全身性炎症性反応症候群(SIRS),手術部位感染(SSI)の有無を記録した.細菌培養は全例で術後3日目のドレーン排液培養を行った他,発熱時に随時血液培養検査等を追加した.術後14日目までに何らかの細菌培養検査が陽性となった症例を細菌感染症有りと定義した.【成績】細菌感染症は4例(27%)で,PD群2例(29%), LR群1例 (17%), LT群1例(50%)であった.全例が臓器/腔のSSI基準に合致し,LT群1例は留置カテーテルからも培養陽性となった.SIRS陽性症例は9例(60%)で,PD群4例(57%), LR群3例(50%), LT群2例(100%)であった.PCT最高値(ng/ml)は,0.50未満が1例(7%), 0.5以上2未満が3例(20%), 2以上5未満が6例(40%), 5以上10未満が2例(13%), 10以上が3例(20%)であった.細菌感染とSIRSとの関連では,術後3日目でSIRS陽性であった4症例全例がその後細菌培養検査陽性となった.細菌感染とPCT値との関連では,細菌感染症4例中3例がPCT最高値10ng/ml以上を呈し,抗生剤の変更・投与延長がなされた上,ドレナージ・再手術などの侵襲的治療を要した.SIRSとPCT値の関連については,PCT 最高値10ng/ml以上の3症例は全例ともSIRSおよび細菌感染症を合併していた.【結論】PCT値が2ng/ml以上の症例でも必ずしも細菌感染症とは関連しないことが示されたが,PCT値10ng/ml以上の症例はその時点で微生物の存在が証明されなくともただちに敗血症として治療すべきと考えられる.
索引用語 肝胆膵手術, プロカルシトニン