セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-周術期管理 2

タイトル 外P-159:

外来初診時から始める歯科と連携した消化器外科周術期口腔ケア

演者 谷口 堅(長崎県島原病院・外科)
共同演者 早稲田 レイ子(長崎県島原病院・リハビリテーション科), 柿田 麻衣(長崎県島原病院・リハビリテーション科), 井口 賢(長崎県島原病院・リハビリテーション科), 東 尚(長崎県島原病院・外科), 松尾 繁年(長崎県島原病院・外科), 島原南高 歯科医師会(島原南高歯科医師会)
抄録 (背景)消化器外科手術症例の高齢化が進んでいる.術後廃用による身体機能低下,口腔内環境不良のため誤嚥性肺炎のリスクが高まる.術後消化機能はとくに上部消化管手術で低下し正しい咀嚼が重要だが,義歯の状態などに問題があることが少なくない.(目的)外科初診時から言語聴覚士(以下ST)による口腔審査を施行,必要があれば歯科による専門的治療を行い歯性感染症を予防する.(対象と方法)2011年2月以降手術目的に外科紹介となった60例(男性30,女性30,胃癌26,結腸直腸癌28,その他6).平均年齢70.7.初診から入院までの期間は平均26日(1~69).初診時直ちにリハビリテーション(以下リハ)科紹介し,周術期リハのオリエンテーションと同時にSTが口腔審査と口腔ケア指導.専門的治療が必要なら同日中に歯科紹介状作成.事前に当地区の歯科医師会と協議し協力歯科医院リストを作成,かかりつけがない場合はこれを利用.術後早期からSTが口腔審査を行い必要があれば歯科往診を依頼.(結果)初診時口腔審査で歯周病,齲歯などを認めた19例を歯科紹介適応と判断.うち17例が歯科受診し歯周病治療5,齲歯処置7,抜歯7,ブラッシング・義歯清掃指導7,歯面清掃・歯石除去8,義歯増歯1,欠損補綴1,義歯作成2(例,のべ)を施行.さらに外科病棟へ歯科往診依頼し専門的口腔ケアの実践および指導,義歯調整を施行.胃癌1例に術後肺炎を発症した.(考察とまとめ)口腔審査後歯科紹介例の受診率は高率で手術前に適切な専門的治療が施行されていた.介入開始前の胃癌症例61例中呼吸器合併症は10例で今回の介入群と比較し統計学的有意差はないが減少傾向と思われた.歯科を標榜しない当院では口腔審査が算定できないという問題がある.今後周術期口腔ケアを切れ目なく行うとともに摂食機能療法をルーチン化し嚥下機能維持,呼吸器合併症予防と栄養状態維持に努め,その有用性を社会的に認知せしめることが重要と考える.
索引用語 口腔ケア, 歯科