セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-代謝・栄養

タイトル 外P-163:

在宅NSTによる地域連携

演者 市原 利晃(秋田往診クリニック)
共同演者 佐藤 浩平(秋田往診クリニック)
抄録 【目的】病院の病床数は全国的に減少傾向であり,限られたベッドを有効に使うためには病院と在宅医療との連携が不可欠となってきている. 2038年には90万人が在宅看取りとなるとの予測もある.一方,現時点でまだ発展途上である在宅医療は,市中病院の特に急性期病院の後方支援によって支えられている.そして在宅では,訪問看護ステーションやケアマネージャーだけで無く,介護関係,福祉用具関係,歯科医師,薬剤師,栄養士など多職種間の連携も大切である.そこで,多職種による在宅NSTを組織し,それを軸とした在宅連携ネットワークの充実を目指している.そのきっかけとなった1例を報告し検討する.【症例】26歳,男性【現病歴】 X年3月,交通事故にて重症脳外傷,第2頚椎骨折,下顎骨折,右脛骨骨折,左尺骨骨折受傷し総合病院に救急搬送された.DIC,肺炎を合併したが一命をとりとめた.意思疎通が困難であり,X年7月にリハビリテーション病院に転院,簡単な意思疎通はX+2年頃より可能となった.X+5年6月に在宅療養開始し,X+5年12月より当クリニックによる診療を開始した.X+6年4月内視鏡検査にて誤嚥の無いことを確認後,経管栄養を併用しながら流動食による経口摂取量を漸増,X+6年6月に気管切開チューブを抜去し,訪問栄養指導を開始した.当初は流動食に近い嚥下食であったが,徐々に全粥に近づけていくことが可能だった.その際の栄養士によるご家族への指導は大変有効であり,医療面でも家族を含めた多職種連携につなげることができた.経口摂取量が十分となり,X+7年2月に経管栄養の併用を中止,X+7年6月には気管切開部の瘻孔縫合閉鎖術を施行し,X+7年7月に胃瘻を抜去した.X+7年8月にはカレーライスを食べられるようになっている. 【結論】在宅医療に地域連携は必須であり,良好な連携が要となる.その中でもご家族の協力は不可欠である.家族も連携の中に組み込めるNSTは,在宅に必要なチーム体系なのかもしれない.在宅NSTをさらに発展させて病院NSTやNST外来などと連携できれば,今後のシームレスな病診連携にも有用だと考えられる.
索引用語 NST, 在宅