セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-鏡視下手術 1

タイトル 外P-169:

上腹部正中切開ハイブリッド肝葉切除における合併症回避の工夫

演者 高槻 光寿(長崎大大学院・移植・消化器外科学)
共同演者 曽山 明彦(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 日高 匡章(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 足立 智彦(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 北里 周(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 藤田 文彦(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 南 恵樹(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 黒木 保(長崎大大学院・移植・消化器外科学), 江口 晋(長崎大大学院・移植・消化器外科学)
抄録 目的:当科では,腹部手術歴がなく授動先行が可能な症例であれば,肝葉切除に対しても用手腹腔鏡補助(HALS)下に肝を受動し,上腹部正中切開によるハイブリッド肝切除を施行している.本術式による肝葉切除における合併症回避の工夫を提示する.手術法:8cmの上腹部正中切開からの気腹下HALS肝受動後に創を最大12cmまで延長し,オムニトラクト開創器を用いて十分に創を展開し各種鉤を用いて術野を完全に固定する.肝実質切離は全ての術式でliver hanging maneuverを用いて切離面を腹側正中に持ち上げ,胆道造影が必要な症例では鉛線で肝門板ごとencircleしてC-arm cholangiographyで正確な切離線を確認して切離する.対象:本法を導入した2010年以降,53例の肝葉切除症例を対象とした.男性32例,女性21例,年齢の中央値49歳(21-45).生体肝移植ドナー38例,肝細胞癌7例,肝門部胆管癌3例,肝内胆管癌1例,その他4例.術式は拡大左葉切除または採取26例,右葉切除または採取24例,左葉切除または採取3例で,全体のうち3例は肝部分切除術を併施した.結果:全例で正中創以外の創の追加はなかった.全体の出血量中央値600ml(50-5370),手術時間433分(217-709).生体肝移植ドナーでそれ以前(正中+右肋骨弓下切開)の直近40例と比較したところ,出血量はハイブリッド例で有意に少なく(745g(170-2200)vs 560g(50-1950, P<0.05),手術時間に有意差はなかった(384分(326-550) vs 443分(319-581)).術後合併症については,胆管狭窄は両群ともに認めず,Clavien分類III以上の合併症も5/40(13%) vs 3/39(8%)と有意差を認めなかった.まとめ:本術式は,オムニトラクトによる十分な視野展開と各種鉤を用いた術野固定,切離線を腹側に挙上するliver hanging maneuver,鉛線を用いた胆道造影,等を併用することにより,肝葉切除においても安全性とクオリティーを担保できる.
索引用語 肝切除, ハイブリッド