セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-鏡視下手術 2

タイトル 外P-178:

肝細胞癌に対する腹腔鏡下手術

演者 岩下 幸雄(大分大・消化器外科)
共同演者 川崎 貴秀(大分大・消化器外科), 川野 雄一郎(大分大・消化器外科), 小森 陽子(大分大・消化器外科), 内田 博喜(大分大・消化器外科), 矢田 一宏(大分大・消化器外科), 太田 正之(大分大・消化器外科), 猪股 雅史(大分大・消化器外科), 北野 正剛(大分大)
抄録 【目的】当院では1994年に腹腔鏡下肝切除を導入し,本年2月までに57例を施行して来た.デバイスや手術手技の向上により,高度な肝切除においても標準的治療となりつつある.当院における肝細胞癌に対する腹腔鏡下手術の現況を報告し,今後の発展性について考察する.【対象と方法】1996年-2013年2月までに当院で行われた肝細胞癌手術294例.開腹手術258例,腹腔鏡下手術36例.検討項目1:腹腔鏡下手術施行割合,検討項目2:短期成績および長期成績,検討項目3:腹腔鏡下手術のメリットおよび適応の限界について.【結果および考察】結果1:腹腔鏡下手術の施行割合は12%で増加傾向であり,2012年は30.8%.2010年以後に手術した91例のうち開腹手術選択の最多理由は系統的切除であり,これを腹腔鏡下手術の適応とした2013年は施行割合50-60%となる見込みである.結果2:2010年以後の小型肝細胞癌(3cm,3個以下)における手術成績,および術後短期成績(開腹vs腹腔鏡)は手術時間(262分vs 203分),出血量(289ml vs 179ml),術後合併症(23.5% vs 7.1%),術後在院日数(19日vs 11日),全てにおいて腹腔鏡下手術が良好であった.長期成績に関しては,1994年-2002年の外側区域切除症例において生存率,無再発生存率ともに開腹手術と遜色は認めなかった.結果3:腹腔鏡手術最大のメリットは拡大視効果であり,特に肝背側の剥離授動において効果を発揮する(ビデオ供覧).手術をモニターで見る,ビデオ撮影する事により情報を共有でき,教育効果も高いと考える.適応について,患者因子(呼吸・循環器合併症,上腹部開腹手術歴),腫瘍因子(10cm超,大血管へ近接あるいは浸潤,胆道再建)のものは腹腔鏡下手術の適応外としている.これまでに開腹移行は1例のみで,移行理由は肝硬変合併にて肝授動困難のためであった.【結語】腹腔鏡下肝切除は短期成績良好であり,安全性,根治性が担保されれば今後肝癌外科治療の第一選択と成り得る.
索引用語 肝細胞癌, 腹腔鏡下手術