セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
肝臓-その他 1
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タイトル |
外P-185:門脈・全身血行動態からみた門脈圧亢進症治療法の選択~胃静脈瘤(GV)を中心として~
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演者 |
近森 文夫(国吉病院・消化器外科) |
共同演者 |
河島 孝彦(つくば双愛病院・外科), 高瀬 靖広(つくば双愛病院・外科) |
抄録 |
我々は1992年に頚静脈経由でエタノールと5%EOIを使いカテを24時間留置する手技TJOを,2008年にPSE・TJO併用療法を報告した.現在門亢症治療に際しては,#1静脈瘤出血回避・消失と#2門脈全身血行動態改善という2つの到達目標がある.今回GVを中心に#1および#2の観点から検討した.1.TJO単独例の長期予後(1991-2008, 肝癌非併存例n=90):GV消失率は100%,累積生存率は5年77%であったが,5年累積TJO後食道静脈瘤(EV)増悪率はChild A10%,B 35%,C 73% と肝機能不良なほど高率(p<0.01).2.PSE・TJO併用療法で治療したGV14 例 (1群)とTJO単独で治療した19例(2群)の比較検討(2002-2006):GV消失率は,1群100%,2群100%.3年累積生存率は,1群92%,2群95%.TJO後累積EV発生率は,1群で1年0%,2年9%,3年9%,2群で1年27%,2年45%,3年45%と,1群で有意に低率(p<0.05).3.併用療法の門脈血行動態変化(n=16):WHVPはPSE直前23±7 からPSE直後19±7に低下 ( p<0.01). その2週間後に施行したTJO直前には 20±5からTJO翌日には 22±6 mmHgに上昇(p<0.01).併用療法前後のWHVPを比べると有意差なし.脾静脈血流量は前319±131から後 179±113へ有意に減少(p<0.05) .4. 脾静脈/門脈径比(SV/PV),シャント/門脈径比(Shunt/PV)と全身血行動態(n=118): SV/PV,Shunt/PVは心係数(CI)と正の相関を,全身血管抵抗係数(SVRI)・動静脈酸素含量格差(Ca-vO2)と負の相関を認めた(p<0.01).5.併用療法による全身血行動態変化(n=13):対象は右心カテを併用療法前ならびに術後に施行しえたGV.CIは前/後=4.0±0.8/4.1±0.8,SVRIは前/後=1837±431/1867±429と有意な変化を認めなかったが,Ca-vO2は前/後= 2.54±0.51/ 3.31±0.93,酸素消費量は前/後= 100±15/ 129±28と有意差を認めた(p<0.01).【結語】Shunt/PV,SV/PVを下げて門脈・全身血行動態・予後の改善を期待できるPSE・TJO併用療法はGV治療戦略の第一選択として位置づけられるものと考えられた. |
索引用語 |
胃静脈瘤, 血行動態 |