セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 1

タイトル 外P-186:

血清アルブミンの質に注目した肝切除術後腹水発生危険因子の検討

演者 野尻 和典(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
共同演者 田中 邦哉(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 中川 和也(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 藪下 泰宏(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 山本 晋也(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 廣島 幸彦(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 武田 和永(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 熊本 宜文(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 上田 倫夫(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 松山 隆生(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 谷口 浩一(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 森 隆太郎(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
抄録 【目的】肝切除術後腹水発生危険因子を周術期栄養指標特に酸化型/還元型アルブミンに注目し検討する.【対象・方法】2010年8月から2013年1月に肝細胞癌に対する肝切除(胆道再建非併施かつ初回切除例)を施行した57例の栄養指標を前向きに集積した.術後腹水発生群と非発生群の背景因子(年齢,性別,併存疾患,肝機能),手術因子(肝切除術式,出血量,手術時間,輸血の有無),周術期栄養指標(血清アルブミン,プレアルブミン,レチノール結合蛋白,リンパ球数,Fisher比,酸化型/還元型アルブミン比)を比較した.BCAA顆粒製剤(以下BCAA)は全例使用し57例中27例(47.4%)は手術3週間前,30例は術後1日目から投与した.【結果】<1> 腹水発生は14例(24.6%)に認めた.腹水発生群(A群)と非発生群(B群)の間で背景因子,手術因子に差を認めず,周術期の血清アルブミン,レチノール結合蛋白,リンパ球数は差を認めなかった.術後14日目のプレアルブミン(A群;10.6±3.5mg/dl,B群;13.2±5.9mg/dl p=0.030),Fisher比(A群;2.8±1.2,B群;4.3±2.0 p=0.028),還元型アルブミン率(A群;59.3±8.1(%),B群;64.1±8.7(%) p=0.048)の3項目が有意に腹水発生群で低値を示した.BCAA投与開始時期で腹水発生に差を認めなかった(術前内服群 vs 非内服群;6例(22.2%) vs 8例(26.7%) p= 0.469).<2> 腹水危険因子について術後14日目の血清アルブミン,リンパ球数,レチノール結合蛋白,プレアルブミン,還元型アルブミン率,Fisher比の6項目の多変量解析より還元型アルブミン60%未満及びFisher比3未満の2項目がHazard比8.086,5.780を持って抽出された.【結語】肝切除術後腹水発生と酸化型/還元型アルブミン比との相関が示唆された.酸化アルブミンを還元型に改善するための栄養学的・薬物的介入が術後腹水制御に有効である可能性が考えられた.
索引用語 肝切除, 還元型アルブミン