セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 1

タイトル 外P-187:

肝細胞癌根治切除例における術前栄養指数や炎症性マーカー測定の意義に関する検討

演者 山村 和生(名古屋大大学院・消化器外科学)
共同演者 杉本 博行(名古屋大大学院・消化器外科学), 高見 秀樹(名古屋大大学院・消化器外科学), 神田 光郎(名古屋大大学院・消化器外科学), 小林 大介(名古屋大大学院・消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大大学院・消化器外科学), 山田 豪(名古屋大大学院・消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大大学院・消化器外科学), 藤井 努(名古屋大大学院・消化器外科学), 粕谷 英樹(名古屋大大学院・消化器外科学), 小池 聖彦(名古屋大大学院・消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大大学院・消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大大学院・消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】近年,種々の癌腫において,栄養指数や炎症性マーカーなどの術前パラメーターを用いた予後因子の検討がなされ,その有用性が報告されている.肝細胞癌においても有用性を示唆した報告が散見されるが,その評価は定まっていない.今回,肝細胞癌根治切除後の合併症発生や再発予測における術前栄養指数や炎症性マーカー測定の意義に関する検討を行った.【方法】2008年1月から2012年12月の間に当院で根治切除を施行した肝細胞癌102例を対象とした.BMI,%IBW,CRP値,NLR(好中球数/リンパ球数比),PLR(血小板数/リンパ球数比),GPS(Glasgow prognostic score),modified GPS,PNI(Prognostic nutritional index),PI(Prognostic index)を含めた各種の術前患者因子,手術因子と術後合併症発生との関連,またそれらが無再発生存期間に与える影響について検討を行った.【成績】多変量解析の結果,年齢70歳以上(OR: 5.64, 95%CI: 1.40-27.93, P=0.0210),ICG-K値0.150未満(OR: 10.60, 95%CI: 2.05-86.29, P=0.0109),葉切除以上施行(OR: 6.21, 95%CI: 1.16-43.36, P=0.0423)が術後合併症(Clavien-Dindo分類IIIa以上)発生の独立危険因子であり,Child-Pugh分類B(OR: 18.30, 95%CI: 1.62-468.67, P=0.0299),葉切除以上施行(OR: 6.29, 95%CI: 1.10-43.00, P=0.0435)が術後肝不全(ISGLS)発生の独立危険因子であったが,術前の各種栄養指数や炎症性マーカーとの相関はみられなかった.一方,生存期間の検討では,術前のNLR3以上(OR: 2.63, 95%CI: 1.07-6.27, P=0.0363)のみが無再発生存期間短縮の独立した危険因子であった.【結論】肝細胞癌においても術前の炎症性マーカー測定が根治切除後の予後予測に有用である可能性が示唆された.今後,更に症例数を蓄積して検討する必要がある.
索引用語 予後予測因子, 炎症性マーカー