セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 1

タイトル 外P-188:

当科における肝細胞癌に対する肝切除周術期輸血について

演者 米田 浩二(大阪医大・一般・消化器外科)
共同演者 林 道廣(大阪医大・一般・消化器外科), 井上 義博(大阪医大・一般・消化器外科), 清水 徹之介(大阪医大・一般・消化器外科), 朝隈 光弘(大阪医大・一般・消化器外科), 廣川 文鋭(大阪医大・一般・消化器外科), 宮本 好晴(大阪医大・一般・消化器外科), 内山 和久(大阪医大・一般・消化器外科)
抄録 【背景】手術手技と術中麻酔管理の進歩により,肝細胞癌肝切除の周術期輸血を行う機会は減少しつつあるものの,大量肝切除においては周術期輸血を要する場合がある.周術期輸血は免疫力を低下させ,再発・生存に悪影響を及ぼす,と過去に報告されているが,明らかなevidenceは数少ない.【対象】1993年から2010年までに当科で施行した肝細胞癌初回肝切除例247例に対して周術期輸血の検討を行った.輸血あり症例は55例で,輸血なし症例は192例であった.2群間の予後因子を検討し,それらの背景因子差をなくすために,propensity score analysisを用いて症例数を揃え検討を行った.【結果】247例のうち,単変量解析においてHCV陽性/陰性,血小板数,AFP値,腫瘍サイズ,腫瘍個数(単発/多発),Child Pugh A/B,周術期RCCあり/なし,腫瘍Stage,組織学的肝硬変程度の9因子が有意差を認めた.うち,多変量解析により独立した予後因子となったものは,血小板数(個/μl)(15万未満・以上),AFP(ng/ml)値(1000未満・以上),腫瘍サイズ(5cm未満・以上),腫瘍StageI,II/III,IV,組織学的肝硬変程度(1,2/3,4)であった.これらの因子をもとに,propensity score analysisを行い,2群間因子を揃え,最終的には手術中出血量のみに有意差を認めた.各55症例となった2群間でKaplan-Meier曲線にて,disease-free survival, overall survivalを比較したところ,各々p=0.3810, p=0.9142であり有意差はみられなかった.【結語】今回の検討結果からは,肝細胞癌術後の周術期輸血は,再発・生存に影響を与える可能性は低いと考えられた.
索引用語 周術期輸血, 肝切除