セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 1

タイトル 外P-190:

肝切除術におけるPOSSUM scoreの有用性

演者 赤星 径一(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科)
共同演者 落合 高徳(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 松村 聡(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 伴 大輔(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 入江 工(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 工藤 篤(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 中村 典明(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科), 田中 真二(東京医歯大附属病院・肝胆膵外科)
抄録 【背景】Physiological and Operative Severity Score for the enUmeration of Mortality and morbidity(POSSUM)は1991年にCopelandらが提唱した手術リスク評価法のひとつである.POSSUMの有用性は消化器手術全般,緊急手術,高齢者手術などを中心に報告されている.これまでの我々の検討では肝切除範囲の大きさと合併症発生率の相関が認められたが,今回POSSUM scoreの各因子につき更なる検討を行った.
【方法】2010年9月~2012年2月の間に当科で初回肝切除を行った肝細胞癌症例100例を対象とし,POSSUM scoreの因子を算出し,予測合併症発生率・予測死亡率を検討した.
【結果】術後合併症は27例に認められ,手術関連死亡は2例であった.合併症の内訳として胆汁漏が9例と最も多く,呼吸器合併症は6例,循環器合併症は2例であった.術後合併症の有無で2群にわけて検討を行った.POSSUM scoreに基づいたPhysiological score(PS)は術後合併症発生群20.4±4.9,非発生群19.6±4.6(p=0.447)と有意差を認めなかったのに対してOperative score(OS)は,術後合併症発生群20.2±2.7,非発生群17.2±3.7(p=0.0002)と有意差を認めた.また,PSとOSから算出されるPOSSUM scoreによる予測合併症発生率と予測死亡率もそれぞれ両群間で有意差を認めた.術前患者背景を反映しているPSに有意差を認めず,手術侵襲の大きさを反映しているOSが合併症発生率・死亡率と相関していた.合併症発生率はOS14以下で0%,OS15以上20以下で18.6%,OS21以上で45.2%であり,OS21以上は合併症の発生リスクが高かった.
【考察】緊急手術・高齢者手術についての検討ではPS・OSともに合併症発生群と非発生群の間で有意差があるとの報告が多いが,今回検討対象とした肝切除術は耐術能の評価を踏まえた待機的手術であり,PSに差を認めなかった.また,OSは出血量・腹水の有無・手術侵襲の大きさ等が評価項目となっており,肝切除術においては他臓器の手術に比べてOSの値が高い傾向にあると考えられた.
索引用語 POSSUM, 肝細胞癌