セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 2

タイトル 外P-191:

脾機能亢進症を伴う肝硬変症に対する腹腔鏡下脾臓摘出術の意義

演者 矢田 章人(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科))
共同演者 飯室 勇二(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 岡田 敏弘(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 裴 正寛(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 鈴村 和大(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 中村 育夫(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 田中 省吾(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 近藤 祐一(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 麻野 泰包(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 平野 公通(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科)), 藤元 治朗(兵庫医大・外科(肝・胆・膵外科))
抄録 【目的】脾機能亢進症を伴う肝硬変症に対して,教室では腹腔鏡下脾臓摘出術を積極的に行っているが,門脈圧亢進症治療におけるその意義を検討した.【方法】2007年1月から2012年8月に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した脾機能亢進症を伴う肝硬変症例の59例を対象とした.【成績】男性30例,女性29例, 平均年齢57.4歳,Child-Pugh grade A/B/C:40/19/0.術式は完全鏡視下50例,腹腔鏡補助下(HALS)移行が8例,開腹移行が1例.手術時間184.5分,術中出血量75ml,摘出脾重量273.4±197.5gであった.術後合併症は術後出血が1例,門脈脾静脈血栓症が16例(脾静脈血栓のみ7例,門脈血栓のみ6例,門脈脾静脈血栓3例)で,脾静脈径≧10.2mm,術中輸血有が門脈脾静脈血栓症の危険因子であった.術後の血液データの検討では血小板数(術前5.8±2.0×104/μl,術後1ケ月19.4±8.8×104/μl), PT値(術前:76.5±12.3%,術後1ケ月:81.4±12.9%),血清T-Bil値(術前:1.18±0.61mg/dl,術後1ケ月:0.76±0.382mg/dl)に有意な改善がみられたが.血清Alb値には有意な差を認めなかった.C型肝硬変症例53症例のうち41症例でIFN療法導入が確認され,17例でSVR(41.5%), 9例でウィルス消失後の再燃がみられ,15例で無効であった.術前HCC併発を認めなかった53例のうち術後観察期間中11例(20.8%)にHCCが発症し,全例安全に治癒的治療が行われた.術前後に上部消化管内視鏡検査を行った35例のうち,術前食道静脈瘤は26例,胃静脈瘤は16例,PHGは7例に認め,術後,食道静脈瘤9例,胃静脈瘤9例,PHG4例で改善がみられた.【結論】脾機能亢進を伴う肝硬変症に対する腹腔鏡下脾臓摘出術は比較的安全に施行可能であるが,術後合併症も存在する.しかし,脾摘により血小板数だけでなく肝予備能,食道胃静脈瘤の改善がみられる症例が存在し,門脈圧亢進症治療における有用な選択肢と考えられる.
索引用語 脾機能亢進症, 脾臓摘出術