セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 2

タイトル 外P-192:

中腸回転異常と肝十二指腸靭帯解剖の関連性‐稀な脳死肝移植症例を経験して‐

演者 林 泰寛(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 高村 博之(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 正司 政寿(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 古河 浩之(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 井口 雅史(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 谷 卓(公立松任石川中央病院・外科), 小坂 一斗(金沢大・放射線科), 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 【はじめに】肝門部解剖の変異は手術術式の決定や難易度に大きな影響を与える.今回我々は脳死臓器提供ドナーにおける中腸回転異常と,肝門部解剖変異の合併を経験した.中腸回転異常診断例における門脈肝動脈解剖と正常例における解剖を比較検討し,報告する.【症例】60歳代男性,脳死臓器提供ドナーとして腹部は肝臓,膵臓,腎臓を提供頂いた.術前の画像と開腹所見から中腸回転異常と診断した.他臓器チームと協議の結果,肝動脈系は固有肝動脈までをグラフトとして採取した.固有肝動脈は非常に短く,その結果として再建の際には左右の肝動脈を各々再建する必要が生じた.【方法】当院にて腹部造影CTを撮影し,中腸回転異常と診断された9例(MGM群)を対象とし,門脈,肝動脈の分岐形態や長さなどを検討した.また,肝胆膵領域に疾患を有さない腹部造影CT撮影症例10例を対照群とした.冠状断にて門脈本幹および固有肝動脈を求め,患者身長で除したものを各々門脈長率,肝動脈長率とした.【結果】門脈長率はMGM群1.3%,対照群は1.6%であり,MGM群において短い傾向が認められた.また,固有肝動脈長率はMGM群0.23%に対して対照群は0.92%であり,MGM群は有意に短かった.また,MGM群においては4例において肝動脈分岐の破格が認められた.【考察】脳死臓器提供においては,術前に必ずしも十分な画像学的解剖評価がなされていない症例も経験される.中腸回転異常を有する症例では,吻合に供される血管長の短縮や破格が多く認めたことから,稀ではあるが知っておくべき解剖学的変異と考えられた.
索引用語 固有肝動脈, 門脈