セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-その他 2

タイトル 外P-194:

門脈ガス血症8例の検討

演者 清住 雄希(熊本労災病院・外科)
共同演者 赤星 慎一(熊本労災病院・外科), 山口 理沙(熊本労災病院・外科), 本岡 大和(熊本労災病院・外科), 清田 礼孝(熊本労災病院・外科), 吉田 泰(熊本労災病院・外科), 井上 克彦(熊本労災病院・外科), 堀野 敬(熊本労災病院・外科)
抄録 【はじめに】門脈ガスは,腸管虚血など緊急手術を要する病態を示唆する兆候として知られている.かつては緊急開腹手術の絶対的適応例であるとされてきたが,自然軽快例や内視鏡検査の影響によるものなども報告され,手術を行わずに軽快する症例が認められている.今回我々は保存的治療で軽快した例を含む門脈ガス血症8例を報告し,手術適応因子について検討する.【対象】2010年1月~2012年12月に当院のCT検査で門脈ガス像を認めた8例を対象とした.【結果】男性4名,女性4名,年齢は中央値80.5歳(65~97),主訴は腹痛5名,吐気2名,下血1名,腹膜刺激症状陽性は2例,陰性6例であった.手術を施行したのは3例,保存的治療としたのは5例で,それぞれの採血データは手術症例WBC 18200(8500-18200),CRP 10.4(0.85-23.4) 経過観察症例WBC 12400(8300-18300),CRP  9.74(0.1-21.1)と有意差は認めなかった.手術症例のうち1例は腸管壊死を認めたため腸切除を施行,1例はヘルニア陥頓を認めたが腸管壊死は無く,1例は原因となる所見を認めなかったため腸切除を行わなかった.保存的加療とした5例のうち2例は,身体所見,画像所見から本来ならば手術が必要な状態と考えたが,全身状態や併存疾患の問題から手術を行わない方針とし,いずれも入院後死亡の転帰となった.その他の3例は軽快し,入院後30日以内には退院した.【まとめ】門脈ガス症例の治療方針を検討する際,画像上門脈ガスを認めても採血検査のみで腸管虚血の有無を判断することは困難であるが,腹膜刺激症状を認める場合は腸管虚血を疑い手術を第一選択とする必要がある.手術適応の遅れは致命的な経過を辿る可能性が高いため,保存的治療を行う場合でも理学所見,検査データ等について繰り返し評価を行い,厳重に経過を診ることが重要である.
索引用語 門脈ガス, 緊急手術