セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)肝臓-症例 1 |
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タイトル | 外P-198:肝性脳症を来した肝内巨大門脈瘤を介した門脈大循環シャントの1切除例 |
演者 | 竹村 茂一(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学) |
共同演者 | 西岡 孝芳(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 宮本 光(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 坂田 親治(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 浦田 順久(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 野沢 彰紀(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 濱野 玄弥(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 木下 正彦(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学), 久保 正二(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学) |
抄録 | 肝機能障害を合併しない肝性脳症は比較的まれであるが,その多くが肝外の門脈大循環シャントに起因するものである.しかしながら肝内の門脈瘤を介する門脈肝静脈短絡症は極めて稀な病態である.今回,巨大な肝内門脈瘤により肝性脳症のみならず盗血症候群による肝機能障害を呈した症例を経験したので報告する.症例は70才代の女性.5年前より意識消失発作のためIVRによる短絡路閉鎖を試みられたが施行困難のため保存的治療を施行され,入退院を繰り返していた.今回,根治治療目的に当院外科に紹介となる.入院時,意識は比較的清明であったが,記銘力低下,計算力低下を認め,血中アンモニア値は170μg/dl前後であった.ウイルス性肝障害は認めなかった.CT検査では肝S8区域をほぼ占拠する径52mm大の門脈瘤を認め,拡張した右肝静脈と2本の短絡路を認め,IVC合流部までの距離は約10mmであった.以上より,肝内門脈瘤を介する門脈下大静脈シャントによる肝性脳症と診断したが,IVRによる治療は困難と判断,右葉切除を念頭に開腹した.開腹時,肝右葉は心拍に応じて拍動し,門脈瘤内には肝表面からも渦巻いている血流が透見でき,あたかも右心房のようであった.門脈圧は切除前7mmHgであり,右肝動脈遮断では変化無く,右門脈遮断にて16mmHgに上昇した.門脈遮断においても門脈瘤は下大静脈からの逆血による拍動を呈しており,血栓形成・肺塞栓の可能性も危惧されたため,予定通り右葉切除を施行した.摘出標本では瘤を形成する門脈・静脈壁に組織学的異常を認めなかった.術後,肝機能は良好となり,血中アンモニア値は正常化,神経症状は消失した.以上,非常に稀な肝内門脈瘤を介した門脈大循環シャントを経験したので,その詳細を報告する. |
索引用語 | 門脈瘤, 門脈下大静脈シャント |