セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 2

タイトル 外P-203:

自然退縮と考えられた肝細胞癌の3切除例

演者 濱田 剛臣(宮崎大・腫瘍機能制御外科学)
共同演者 近藤 千博(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 矢野 公一(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 大谷 和広(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 藤井 義郎(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 春山 幸洋(宮崎大・腫瘍・再生病態学), 田中 弘之(宮崎大・腫瘍・再生病態学), 千々岩 一男(宮崎大・腫瘍機能制御外科学)
抄録 【はじめに】肝細胞癌(HCC)の自然退縮は稀でその機序は不明である.当科で経験した自然退縮と考えられたHCCの3切除例を報告する.【症例1】78歳男性.C型慢性肝炎.2008年3月にAFP:40 ng/mlと上昇を認め,CTでS2に5cm,S7に1.5cmの腫瘍を認めた.S2の腫瘍は造影効果に乏しく,2回の肝生検でも悪性所見は認めなかった.S7の腫瘍はHCCの造影効果を呈し,HCCと診断した.肝外側区域切除,S7部分切除術を施行.病理診断はS7の腫瘍はHCCであった.S2の腫瘍は悪性所見なく,経過よりHCCの自然退縮が疑われた.【症例2】85歳男性.C型慢性肝炎.2011年6月にAFP:3492 ng/mlと上昇を認め,CTでS8に3cm大のV-Pシャントを伴う腫瘍を指摘され,造影効果よりHCCと診断された.肝S8亜区域切除を施行.病理診断で腫瘍は縮小し,悪性所見なく,HCCの自然退縮が疑われた.術直前のAFPは391 ng/mlと低下していた.【症例3】67歳男性.2010年にUSで肝S6に腫瘍を指摘され,CTでHCCと診断しRFAを施行.その経過中の2012年4月にAFP:74699 ng/mlと上昇し,CTでRFA後の腫瘍に連続する5cmの腫瘍を認め,HCCの再発と診断.術前のAFPは1824 ng/mlと低下しており,腫瘍径も縮小を認めた.肝後区域切除を施行.病理診断はHCCで,癌内に壊死およびリンパ球浸潤,繊維化が混在し自然退縮と診断した.【考察】自験例3例のうち1例はHCC内に壊死したHCCを認めており,HCCの自然退縮と診断した.他2例は明らかな腫瘍細胞は認めなかったが,臨床経過,腫瘍マーカー高値,画像所見からHCCの自然退縮と診断した.3例中2例で門脈の閉塞を認め,1例で腫瘍周囲の静脈に変化を認めていた.本邦既報告例16例を検討したところ,右葉に存在すること,腫瘍径3cm以上,腫瘍マーカーの著明な上昇,脈管侵襲像が特徴的に認められ,自験例も類似した所見を有していた.【結語】自然退縮と考えられたHCCの3切除例を経験した.血流低下が腫瘍退縮に関与している可能性が示唆された.
索引用語 肝細胞癌, 自然退縮