セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 2

タイトル 外P-205:

腫瘍破裂で発症し肝細胞癌と鑑別困難であった肝原発類上皮血管内皮腫の1例

演者 土田 忍(淀川キリスト教病院・外科)
共同演者 長谷川 恭久(淀川キリスト教病院・外科), 高橋 毅(淀川キリスト教病院・外科), 若原 智之(淀川キリスト教病院・外科), 粟津 正英(淀川キリスト教病院・外科), 植田 亜津紗(淀川キリスト教病院・外科), 吉田 俊彦(淀川キリスト教病院・外科), 上田 悠貴(淀川キリスト教病院・外科), 原田 由布子(淀川キリスト教病院・外科), 豊川 晃弘(淀川キリスト教病院・外科)
抄録 【緒言】類上皮血管内皮腫は血管内皮由来の非上皮性腫瘍で,軟部組織・肺・肝などに発生するまれな腫瘍である.また,病理学的には血管肉腫と血管腫の中間の悪性度を示し,比較的予後不良の悪性腫瘍とされている.今回,腫瘍破裂で発症し肝細胞癌と鑑別困難であった肝原発類上皮血管内皮腫の1 例を経験した.【症例】60代・男性.2012年6月に腹痛を主訴に近医を受診し,腹水と肝腫瘤を指摘され当院消化器内科を紹介受診した.精査入院待機中,腹痛が増強したため救急外来を受診した.肝腫瘤破裂による腹腔内出血と診断し,肝動脈塞栓術を施行した.血管造影上,造影剤のPoolingを認め血管腫も鑑別に挙がったが,悪性疾患が否定できないため手術予定とした.【方法】手術待機中にも再出血のため塞栓術を要した.開腹時多量の血性腹水を認め,肝S6下面に突出する径6.0cmの腫瘍が結腸肝弯曲部に極めて強固に癒着していた.破裂性の肝細胞癌と判断し,肝S6亜区域切除術および右結腸切除術を施行した.また周囲腹膜に径1.0mm程度の結節が散在しており,一部を摘出した.【結果】術後,深層創感染をきたしたものの概ね順調に経過し第25日目に退院となった.病理組織学的検査の結果,大小の異型な血管増殖と異型細胞の増殖を認め類上皮血管内皮腫と診断した.また腹膜結節も播種腫瘍と判断した.術中エコーにて1.0cm程度のSurgical marginを確保したが,切離面は腫瘍細胞陽性であり,結腸への浸潤も認めた.補助化学療法を行い,再発巣の増大を認めるものの術後8ヶ月目の現在存命中である.【結論】肝原発の類上皮血管内皮腫は,本邦では過去60例程度の報告例を認めるのみである.診断・経過ともに貴重な症例と思われるため,文献的考察を加え報告する.
索引用語 類上皮血管内皮腫, 肝