セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 3

タイトル 外P-207:

2年の経過を経て切除に至った悪性リンパ腫合併肝細胞癌の1例

演者 青木 秀樹(国立岩国医療センター・外科)
共同演者 荒田 尚(国立岩国医療センター・外科), 金谷 信彦(国立岩国医療センター・外科), 武田 正(国立岩国医療センター・外科), 森廣 俊昭(国立岩国医療センター・外科), 二宮 卓之(国立岩国医療センター・外科), 清田 正之(国立岩国医療センター・外科), 勝田 浩(国立岩国医療センター・外科), 田中屋 宏爾(国立岩国医療センター・外科), 竹内 仁司(国立岩国医療センター・外科)
抄録 近年,肝炎ウイルスと各種悪性腫瘍との関連が報告されており,悪性リンパ腫の合併は注目されている.今回,2年前にHCCとリンパ腫の併存が判明していたものの患者の意志で経過観察となり,2年を経て手術となった症例を経験したので報告する.糖尿病を有し,BMI26.4と軽度肥満を認める70代男性で,2年前肝S2中心に径6.5cmの腫瘤と大動脈周囲リンパ節腫脹を指摘された.精査を勧められるも本人の意志で拒否し,糖尿病に対する治療のみを行っていた.半年後左腋窩に腫瘤を自覚するも放置していたが,その後徐々に増大し,その1年半後漸く近医より紹介受診となる.肝腫瘤は10cmに増大し,腋窩腫瘤も9cmと大きく腫大していた.肝炎ウイルスはBCともnegativeであったが画像上は典型的なHCCであった.PETでは肝腫瘤に集積はないものの腋窩,大動脈周囲,ソケイリンパ節および耳下腺,甲状腺,大腸に集積を認めた.腋窩リンパ節は生検でNHL (diffuse large B cell lymphoma)との回答で耳下腺,甲状腺は耳鼻科での診察で特に異常は認めず,大腸はpolypのみであった.US/Gaシンチでも肝腫瘤は単発で,左葉切除で切除可能であり,血液内科と相談で肝切除を先行する事とした.ICGR15 7% ,KICG 0.177で肝障害度はAで,AFPおよびPIVKA-IIは正常,IL2rは2740と高値であった.肝左葉切除を施行し,切除肝重量は580gであった.病理結果は中分化型HCC im(-) eg fc(+) fc-inf(+) sf(+) a0 vp1 vv0 va0 b0 sm(-) ch(F1 A1) pT3N0M0 StageIIIであった.術後特に問題なく第10病日退院された.BおよびC型肝炎ウイルスとNHLとの関連を証明する論文は多く,ウイルス治療後にはNHLの発生率が低下するとの報告もある.本症例のようにHCCとNHLが同時に発見され,しかも2年間放置された後の治療例は報告がない.極めてまれと考えられ,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 HCC, NHL