セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 3

タイトル 外P-209:

経十二指腸乳頭ドレナージ治療が奏功した難治性肝膿瘍2例

演者 有井 一雄(公立那賀病院・外科)
共同演者 馬野 泰一(公立那賀病院・外科), 木下 博之(公立那賀病院・外科), 坂田 好史(公立那賀病院・外科), 森 一成(公立那賀病院・外科)
抄録 〔はじめに〕肝膿瘍に対する治療はまず抗生剤投与であるが,これで不十分な場合は経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)が通常行われる.単発膿瘍の場合はPTADで軽快する場合が多いが,多発している場合はそれぞれをドレナージする必要がある.経胆道性感染を疑う多発肝膿瘍は原因検索が同時にできる内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)による治療が有用であると考える.ENBDにより根治できた多発肝膿瘍の症例とPTADのみでは不十分で胆道内瘻化により治癒した難治性肝膿瘍の症例を報告する.〔症例〕症例1は64歳,男性で,S7に8cm大とS5に2cm大の肝膿瘍の診断で紹介された.抗生剤投与のみでは炎症の消退が不十分であったため,ERCPを行うと,総胆管胆嚢結石と乳頭炎があり,ガイドワイヤーは膿瘍内に入り乳頭部から白色膿汁流出が確認できたが,ENBD tubeは膿瘍内まで進まなかった.肝門部胆管内にENBD tube を留置し,1週後に膿瘍は5cm大に縮小した.さらに内視鏡的乳頭切開(EST)を追加して軽快した.症例2は81歳,女性で,約5年前に胆嚢,総胆管結石症で胆嚢摘出,総胆管截石,Tチューブドレナージ術の既往がある単発肝膿瘍で,抗生剤治療を行うも回復しないため,PTADを行った.ドレナージチューブより生理食塩水による洗浄や太いチューブに入れ替えて治療を行ったが,膿瘍は約10cmに増大し,Tチューブ抜去後の総胆管瘢痕部と膿瘍の中枢側に胆道狭窄があったため,根治するには肝左葉切除術が必要と判断した.PSがGrade 4で,ENBDは自己抜去する可能性が高いと判断し,経乳頭部的にチューブステントを肝膿瘍に挿入して,十二指腸へ内瘻化(EBD)した.その後回復し,PTADチューブを抜去して退院した.〔まとめ〕原因として経胆道性感染が疑われる肝膿瘍には,経乳頭ドレナージが有用な治療法であると考える.
索引用語 肝膿瘍, 経乳頭胆道ドレナージ