セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 4

タイトル 外P-210:

肝骨肉腫の一例

演者 松原 秀雄(八千代病院・外科)
共同演者 小林 一郎(八千代病院・外科), 杢野 泰司(八千代病院・外科), 酒徳 弥生(八千代病院・外科), 渡邊 学(八千代病院・外科), 寺境 宏介(八千代病院・外科), 弥政 晋輔(八千代病院・外科)
抄録 「症例」67歳男性.心房細動で循環器内科通院中,腹部CTで肝S6に腫瘍を認めた.B型,C型肝炎などの感染症は無く,腫瘍マーカーはPIVKA2の上昇を認めたが,AFP,CEAは正常であった.造影CTで肝S6からS7に及ぶ造影効果を伴う6cm大の分葉状腫瘤を認め,内部に絵師を認めた.門脈右枝は腫瘍栓で閉塞しており,近傍にAPshuntを認めた.以上の所見より胆管細胞癌あるいは肝細胞癌の混合型と診断した.血液検査上肝障害を認めず,肝機能的にも切除可能であったため,肝右葉切除術を施行した.術中所見では腫瘍は横隔膜に癒着しており,浸潤が疑われたため横隔膜も一部合併切除した.腫瘤は病理組織学的には肝骨肉腫と診断された.横隔膜浸潤は認めなかった.その後,外来follow中にCTで大動脈周囲リンパ節に3個の1cm大の腫大を認めた.その他には再発の所見を認めず,#16a1-b2のリンパ節郭清を施行した.郭清リンパ節の中に同腫瘍の転移リンパ節を認めた.術後現在までに再発を認めていない.「考察」原発性肝肉腫は悪性肝腫瘍の中では希で,血管内皮やリンパ系組織などの肝間葉系組織に由来していることが多いとされ,頻度としては血管肉腫,平滑筋肉腫,横紋筋肉腫などがみられるが,肝骨肉腫は極めて希な疾患とされている.肝細胞癌の中には腫瘍の肉腫様変化を認めるものもあり,原発性肝肉腫か否かの診断が困難なこともある.また,TAEなどの腫瘍に対する治療の後に腫瘍部の細胞が肉腫様に変化する事実も報告されている.原発性肝骨肉腫は一般に緩徐進行性であるとされているが,報告例では巨大発育した状態で発見されていることが多く,不良な転帰をとっているものが多い.今回我々は非常に希な肝骨肉腫を切除し,その後にリンパ節再発を来たし,これを切除後,初発切除後1年,再発切除後8ヶ月の現在無再発生存中である症例を経験したため,本邦報告例をまとめて報告する.
索引用語 肝臓, 骨肉腫