セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 4

タイトル 外P-211:

S状結腸癌術後の肝転移巣に対して,腹腔鏡補助下肝部分切除術及び完全腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した1例

演者 三輪 武史(富山大・2外科)
共同演者 松井 恒志(富山大・2外科), 渋谷 和人(富山大・2外科), 橋本 伊佐也(富山大・2外科), 北條 荘三(富山大・2外科), 吉岡 伊作(富山大・2外科), 奥村 知之(富山大・2外科), 澤田 成朗(富山大・2外科), 吉田 徹(富山大・2外科), 長田 拓哉(富山大・2外科), 嶋田 裕(富山大・2外科), 塚田 一博(富山大・2外科)
抄録 【目的】腹腔鏡下肝切除術には,肝の授動を腹腔鏡下に行い,開腹下で肝切除を行う腹腔鏡補助下手術(LA)と,肝切除まで腹腔鏡下で完遂する完全腹腔鏡下手術(TL)がある.どちらも低侵襲手術とされており,両術式の選択は施設,及び腫瘍の部位によって異なっている.今回われわれは,同一症例で転移性肝癌に対してLAとTLを施行した1例を経験したので,両術式を比較し報告する.【症例】患者は68歳,女性.2010年7月にS状結腸癌(pSS,N0, fStageII)に対して他院でS状結腸切除術を施行後,肝に3箇所の転移を来し,FOLFIRI施行後に当科へ紹介となった.背景肝は正常肝で肝障害度Aであった.2011年8月にS4,S7,S7の肝転移巣に対してLAを施行した.手術は腹腔鏡下に肝の授動とS4の部分切除術を行い,小開腹下にS7の2病巣に対して部分切除術を施行した.外来にてFOLFIRI療法を継続したが,肝S3に転移再発を認め,2013年1月に腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した.手術は完全腹腔鏡下に行い,標本は臍部の小切開創より摘出した.今回われわれは,本症例に対して当科で施行したLAとTLに関して,術中術後の経過を比較した.手術時間はLA 6時間2分,TL 6時間6分,出血量はLA 995ml,TL 50mlとTLで出血量が少なかった.食事開始はLA,TL共に2日目であった.術後1日目のGOT/GPTはLAで529/378U/lに対してTLで237/220U/lと低かった.術後1日目の白血球数,CRP,プロカルシトニン値はLA/TLで5140/7650 /μl,6.04/7.63mg/dl,0.22/1.36ng/mlであった.TLにおいて出血量が少なく,GOT/GPTの上昇も少なかったが,炎症系マーカーの上昇がLAに比べ高値であった.【結語】LAおよびTLはどちらも低侵襲な術式であるが,体壁の破壊度が大きく異なり,一般的にはTLがより低侵襲と考えられる.しかし本症例においては,侵襲度の比較としては肝切除の影響をより受けていると考えられた.
索引用語 腹腔鏡下手術, 肝切除術