セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 4

タイトル 外P-212:

胸腺腫術後3年目に多発肝転移をきたし切除しえた1例

演者 中野 亮介(尾道総合病院・消化器外科)
共同演者 福田 敏勝(尾道総合病院・消化器外科), 則之 敏生(尾道総合病院・消化器外科), 河島 茉澄(尾道総合病院・消化器外科), 山口 恵美(尾道総合病院・消化器外科), 高橋 元(尾道総合病院・消化器外科), 吉村 紀子(尾道総合病院・消化器外科), 佐々田 達成(尾道総合病院・消化器外科), 住谷 大輔(尾道総合病院・消化器外科), 中原 雅浩(尾道総合病院・消化器外科), 黒田 義則(尾道総合病院・消化器外科)
抄録 〈はじめに〉胸腺腫術後3年目に多発肝転移をきたし切除しえた1例を経験した.〈症例〉患者は56歳, 女性. 3年前に浸潤性胸腺腫の診断で手術を施行した.腫瘍は左肺に浸潤を認め, 胸腺全摘+左肺部分切除を施行した.病理検査にてWHO分類 TypeB1, 正岡の病期 StageIIIと診断した.当科外来にて経過観察していた.術後3年目, CT検査で肝S1に20mm大の腫瘤を認めた.MRI検査では, 肝S1に20mm大, 肝S6に3mm大腫瘤を2個認めた.PET-CT検査では, 肝S1の腫瘤に異常集積を認め, その他の部位には明らかな異常集積は認めなかった.胸腺腫由来の転移性肝腫瘍を第一に考え, 切除可能と判断し, 手術を施行した.術中エコーで肝S1の20mm大腫瘤, 肝S6の2個, 5mm大腫瘤を確認し, この3か所に対して, 肝部分切除術を施行した.病理検査では, いずれも小型リンパ球に混在して淡明な大型類円形核をもつ腫瘍細胞が各個単離して増殖する像を認め, WHO分類 TypeB1像と一致した.胸腺腫の原発巣と同様の所見であり, 胸腺腫の肝転移と診断した. 経過良好にて術後13日に退院となった.術後CDDP, エトポシドによる全身化学療法を4コース行い, 現在術後6か月明らかな再発所見なく経過している.〈まとめ〉胸腺腫は胸腺上皮細胞から発生する腫瘍であり, 縦隔腫瘍の中では最も頻度の高い疾患である.再発形式は局所または胸腔内播種が多く, 胸腔外転移は稀とされている.肝転移切除例に関しては, 本症例を含め, 本邦で11例が報告されているのみであり, 極めて稀と考えられたため報告した.
索引用語 胸腺腫, 肝転移