セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-症例 4

タイトル 外P-213:

経腟的標本摘出法による完全腹腔鏡下手術を施行した大腸癌肝転移の1例

演者 白石 卓也(前橋赤十字病院・消化器病センター)
共同演者 富沢 直樹(前橋赤十字病院・消化器病センター), 荒川 和久(前橋赤十字病院・消化器病センター), 安東 立正(前橋赤十字病院・消化器病センター), 小林 克巳(前橋赤十字病院・消化器病センター), 室谷 研(前橋赤十字病院・消化器病センター), 黒崎 亮(前橋赤十字病院・消化器病センター), 佐藤 弘晃(前橋赤十字病院・消化器病センター), 須藤 雄仁(前橋赤十字病院・消化器病センター), 加藤 隆二(前橋赤十字病院・消化器病センター), 須納瀬 豊(群馬大大学院・臓器病態外科学), 竹吉 泉(群馬大大学院・臓器病態外科学)
抄録 【はじめに】完全腹腔鏡下手術とは,腹腔鏡用ポートからすべての手術操作を行う手術法であるが,切除肝摘出のために小開腹が必要であった.現在,腹腔鏡下手術はさらなる低侵襲性を求める風潮となっている.そのひとつとして,Natural Orifice Specimen Extraction(以下,NOSE)が挙げられる.NOSEの手法として,経肛門的標本摘出および経腟的標本摘出(以下,TVSE)が挙げられる.今回,我々は切除肝を経腟的に取り出し,小開腹創のない完全腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので報告する.【症例】70代,女性.2010年3月に横行結腸癌で腹腔鏡補助下横行結腸切除D3を施行した.2012年6月に腫瘍マーカーが上昇し,画像診断で肝外側区域に単発性肝転移を認め,手術を施行した.腹腔鏡下に肝外側区域切除術を行った後,婦人科用クスコにて腟前壁を腹側へ挙上しながら腟後壁を腹腔内から切開した.腟切開部から回収バックを挿入し,切除標本を経腟的に体外へ摘出した.腟創は腹腔鏡下に縫合閉鎖した.合併症なく術後9日目に退院となった.術後創痛は軽微で,術翌日より積極的に離床が可能であった.【まとめ】今回,我々は切除肝を経腟的に取り出し,小開腹を省略した完全腹腔鏡下手術を施行した1例を経験した.切除肝を経腟的に取り出し,小開腹を省略することで体壁破壊をポート孔のみとし,より低侵襲な手術方法であるということができる.経腟経路を用いて切除標本を取り出すため整容面で優れているだけでなく,体壁破壊に伴ったイレウスや腹壁瘢痕ヘルニア,創感染の危険性が減少すると考えられる.また,術後創痛は軽微であり,積極的に離床をすすめることが可能で,術後の回復も早いとされている.本邦では,検索する限りTVSEにて完全腹腔鏡下肝切除術を施行した報告例はなく大変貴重な症例と考え若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 経腟摘出, 肝切除