セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)肝臓-基礎研究 1 |
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タイトル | 外P-214:肝細胞癌におけるMCM6の発現とその意義 |
演者 | 飯田 通久(山口大・消化器・腫瘍外科学) |
共同演者 | 恒富 亮一(山口大・消化器・腫瘍外科学), 徳久 善弘(山口大・消化器・腫瘍外科学), 坂本 和彦(山口大・消化器・腫瘍外科学), 為佐 卓夫(山口大・消化器・腫瘍外科学), 上野 富雄(山口大・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大・消化器・腫瘍外科学), 硲 彰一(山口大・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大・消化器・腫瘍外科学) |
抄録 | 【目的】 MCM(Minichromosome maintenance)はDNA複製ヘリカーゼでMCM2-7の6つのisoformから構成されている.MCM6はそのisoformのひとつであり,脳腫瘍や悪性リンパ腫で癌の進展と関連することが報告されているが,肝細胞癌における発現については報告されていない.今回,DNAマイクロアレイデータにより,新たな門脈浸潤関連分子としてMCM6を同定したため,HCCにおけるMCM6発現について検討した.【対象・方法】当科で切除されたHCC 55例についてRT-PCR法を用いて癌部と非癌部におけるMCM6 mRNAの発現量を解析した.またHCC118例に対し免疫染色を行い,癌部でのMCM6の発現率から高発現群と低発現群にわけ,2群における門脈浸潤等の臨床病理学因子と予後について検討した.生存解析ではHCCにおいてその発現と予後の関連が数多く報告されている細胞増殖マーカーKi67についても検討を追加し,バイオマーカーとしてMCM6とKi67の比較を行った.さらにMCM6高発現HCC株であるHLEに対し,MCM6をknock downし,その細胞増殖への影響を調べた.【結果】MCM6 mRNAは門脈浸潤陽性HCCで門脈浸潤陰性HCCと比較して有意に発現亢進していた.免疫染色ではHCC のうちMCM6蛋白高発現群は門脈浸潤陽性例および多発例が多かった(p<0.05).根治度A,B症例における生存解析で,MCM6蛋白高発現群はMCM6蛋白低発現群に比して無再発生存期間および全生存期間が有意に不良であった(p<0.01).一方,Ki67高発現群は低発現群に比して全生存期間が有意に不良であったが(p=0.03),無再発生存期間は差がなかった.多変量解析でMCM6高発現は全生存期間における独立した危険因子であった.また細胞株を用いた機能解析ではMCM6のノックダウンで細胞増殖能の低下を認めた.【結論】MCM6発現は門脈浸潤と切除後予後に関与しており,HCV陽性HCC切除後の新たな予後予測マーカーとなりうる可能性が示唆された. |
索引用語 | MCM6, 門脈浸潤 |