セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-基礎研究 1

タイトル 外P-218:

HCCにおけるZEB-1およびE-cadherin発現についての検討

演者 橋口 真征(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学)
共同演者 上野 真一(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学DELIMITER鹿児島大大学院・臨床腫瘍学), 迫田 雅彦(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 飯野 聡(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 南 幸次(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 安藤 慶(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 川崎 洋太(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 又木 雄弘(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 前村 公成(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 新地 洋之(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学), 夏越 祥次(鹿児島大大学院・消化器・乳腺甲状腺外科学)
抄録 【背景】Zinc finger E-box-binding homeobox 1 (ZEB-1) はTGF-βの下流の転写因子であり,E-cadherinを制御して,EMTを誘導することが報告されている.【目的】肝細胞癌(HCC)におけるZEB-1およびE-cadherinの発現について検討した.【方法】1996年から2002年までの7年間に当科で外科的切除が行われた初発HCC症例108例を対象とした.ZEB-1およびE-cadherinの発現を免疫染色を用いて評価し,臨床病理学的因子,生存期間との関連性を検討した.【結果】23例(21.3%)でZEB-1の発現がみられ,44例(40.7%)でE-cadherinの減弱がみられた.ZEB-1陽性とE-cadherinの減弱には相関が認められた.ZEB-1陽性群は,脈管浸潤,腫瘍病期と相関し,有意に予後不良(p=0.025)であった.E-cadherin減弱は肝内転移,腫瘍病期と相関し,有意に予後不良(p=0.048)であった.ZEB-1陽性とE-cadherin減弱を組み合わせた群は,他の群と比較してより予後不良(5年生存率 29.5 vs. 62.2 %, p<0.005)であった.単変量解析では,ZEB-1陽性,E-cadherin減弱,脈管浸潤,肝内転移が予後不良因子とされたが,多変量解析では肝内転移(p=0.0086)のみが独立した予後不良因子と選定された.【考察】今回検討したHCCにおいて,ZEB-1陽性例は21.3%と少ないものの,その予後は有意に不良であった.また,E-cadherin減弱もHCCにおける予後不良因子であったが,ZEB-1陽性とE-cadherin減弱の組み合わせの群ではさらに予後が不良であった.これは,ZEB-1の発現によりE-cadherinの減弱が起こり腫瘍の性質が悪化したためと推察される.今後,ZEB-1の分子機構,EMT促進における役割等が解明され,HCCに対する新たな薬物治療戦略が構築されることが期待される.
索引用語 ZEB-1, 肝細胞癌