セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-診断

タイトル 外P-223:

アシアロSPECT/MDCT融合画像による門脈塞栓術前後の肝容積と機能的肝容積評価の有用性

演者 熊本 宜文(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 田中 邦哉(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 笠原 康平(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 野尻 和典(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 森 隆太郎(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 谷口 浩一(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 松山 隆生(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 武田 和永(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 上田 倫夫(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 大田 貢由(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 秋山 浩利(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学), 遠藤 格(横浜市立大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【目的】3D-CT画像により,各門脈枝の支配域の容量評価は可能となったが,機能的肝容量の評価法は確立されていない.本検討ではアシアロSPECTとMDCTの融合画像による門脈塞栓術(PVE)前後の肝容積と機能的肝容量評価の有用性を明らかにすることを目的とした.【対象】PVEを併用した,胆道再建を伴わない肝切除14例を対象とし,PVE前後での残存予定肝容量と機能的残肝容量を比較した.【結果】平均年齢は66歳で,原疾患は大腸癌肝転移10例(2例は残肝再発症例),肝細胞癌4例であった.塞栓門脈は右門脈が10例,左門脈が1例,右3区域門脈が1例,前区域門脈が1例,後区域門脈が1例であった(3例で部分切除を併施).肝切除術式は,右3区域切除1例,拡大右葉1例,拡大左葉1例,右葉切除術9例,前区域切除1例,後区域切除1例であった.門脈塞栓前の全肝に対する残肝予定肝容量(%LV)と機能的残存予定肝容量(%FLV)はそれぞれ,40.7±9.7%,46.5±15.8%で差は認められなかった.塞栓後の%LV,%FLVはそれぞれ53.5±10.9%,67.7±10.4%でいずれも塞栓前と比較し増加しており(それぞれP<0.01,P<0.01),%FLVの増加率は1.63倍で%LVの増加率1.36倍より高値であった(P=0.01).当教室の切除基準である兵庫医大予後得点(予後得点=-84.6+0.933×(肝切除率)+1.11(ICGR15)+0.999×(年齢)) から切除不能と判断された症例で,SPECT/MDCT融合による機能的肝容積に基づく予後得点で切除可能と判断された3例では,肝切除後に肝不全等の合併症を認めなかった.【結語】門脈塞栓術後,%FLVの増加率は%LVの増加率より高いため,アシアロシンチSPECT/MDCTの融合画像による分肝機能評価により,肝切除適応を拡大できる可能性が示唆された.
索引用語 アシアロシンチ, 肝切除