セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-診断

タイトル 外P-228:

肝予備能評価のためのICG試験のR値とK値およびGSAシンチとの予測式

演者 志摩 泰生(高知医療センター・消化器外科)
共同演者 上月 章史(高知医療センター・消化器外科), 住吉 辰朗(高知医療センター・消化器外科), 岡林 雄大(高知医療センター・消化器外科), 石川 忠則(高知医療センター・消化器外科), 齊坂 雄一(高知医療センター・消化器外科), 公文 剣斗(高知医療センター・消化器外科), 藤原 聡史(高知医療センター・消化器外科), 寺石 文則(高知医療センター・消化器外科), 尾崎 和秀(高知医療センター・消化器外科), 渋谷 祐一(高知医療センター・消化器外科), 中村 敏夫(高知医療センター・消化器外科), 福井 康雄(高知医療センター・消化器外科), 西岡 豊(高知医療センター・消化器外科), 谷木 利勝(高知医療センター・消化器外科)
抄録 当院では,系統的肝切除の際は,GSAシンチで全肝と残肝の機能容積比から残肝K値を求め,0.05以上を手術安全域としている.ICGは種々の要因で実際の肝予備能と乖離する場合があり,GSAシンチよりR値,K値を予測するのは肝切除の適応や術式を決定する上で重要である.現在,当院では次のGSAシンチで得られたLHL15の値からR値,あるいはK値への予測値をGSAシンチの報告書に記載している.R = 119.604 - 117.184 x LHL15.K = -0.1431 x log (0.92127 - 0.90263 x LHL15).肝切除の術前検査として,ICG,GSAシンチを同時期に施行し,K値が0.05以上0.25未満の415例,457検体を対象にした.予測式によるK の実測値と予測値との関係をLHL15 に対して示すと,LHL15 によるK の予測は再現性が高いが,LHL15 が1 に近づくにつれ分散が大きくなる.これはLHL15は肝機能が良好であるほど,プラトーに達して,1を超えないことが関係している.R値の実測値と予測値の差が5%以上の乖離例は167例にみられ,このうち肝切除を施行した症例は145例で在院死はなかった.原疾患はHCC95例,胆道癌24例,肝転移21例などであった.145例中,R値が10%未満の肝機能の良好な症例は56例と多くみられた.ICG,GSAのどちらがより組織所見と近似しているか検討すると,問題ないと判断した(いずれも正常もしくは肝硬変のデータ)のは84例あったが,HCCの55例では10例が幕内基準逸脱例であった.ICGが近いと判断したのは7例でGSAが近いのは36例,判断不能が18例であった.GSAが近似していた36例の原疾患はHCC26例(8例が幕内基準逸脱),胆道癌6例,肝転移4例であった.HCCの幕内基準逸脱例の8例は,原因としてVp3,シャントの存在がそれぞれ1例ずつ考えられた.HCC以外では予測値から胆道癌1例,肝転移1例が手術適応となった.GSAシンチは肝切除の適応拡大と術式決定に貢献していた.
索引用語 ICG負荷試験, GSAシンチ