セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
胆道-診断
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タイトル |
外P-234:術中胆道造影において描出される膵管逆流現象の臨床的意義
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演者 |
上野 公彦(神戸労災病院・外科) |
共同演者 |
味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科), 村上 冴(神戸大・肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【はじめに】近年,膵胆管合流異常(以下合流異常)を伴わない膵胆管逆流現象(以下逆流現象)が注目されている.この原因としては乳頭括約筋の機能障害や膵管内圧と胆管内圧との関係などが関与していると考えられている.逆流現象の診断は,低侵襲のCT,MRI,超音波等では困難で,ERCPにおける造影剤の膵管内逆流現象および胆管または胆嚢内胆汁のアミラーゼ値の上昇が確定診断となる.しかしERCPは侵襲が大きいため,癌の確定診断や胆管結石の除去等を除いて胆道良性疾患に対してはほとんど施行されなくなっており,スクリーニングが困難な病態である.今回われわれは,胆嚢摘出時にroutineに施行する術中胆道造影(IOC)の際に認められた,膵胆管合流異常を伴わない膵胆管逆流現象例の臨床的意義を検討した.【対象と方法】1999年から2011年までの間に当科で胆道良性疾患に対し胆嚢摘出術を施行した症例において,IOCを併施した484例中,造影剤の膵管逆流現象を認めた24例を対象とした.摘出した胆嚢内胆汁のアミラーゼ値および胆嚢粘膜のPCNA染色を行いPCNA Labeling Index(LI)を測定した.なお同時期に施行した逆流現象を伴わない胆嚢摘出症例20 例を対照群とした.【結果】平均年齢61.1歳(23~81),男女比16:8,背景疾患は,胆嚢結石症20例,胆嚢胆管結石症3例,胆嚢腺筋症3例,急性胆嚢炎1例(重複あり)で,IOCにおける膵管描出率は4.7%(23/485)であった.逆流現象群のアミラーゼ値は25000.1±4001.3 IU/l,対照群58.0±50.5 IU/l (p=0.022),PCNA LIは逆流現象群15.7±6.4%,対照群4.5±2.0% (p=0.025)であった.【考察】逆流現象を認めた症例は胆嚢内胆汁のアミラーゼ値およびPCNA LIが対照群に比べて有意に上昇していた.これらの結果より,逆流現象群は将来的に胆道悪性疾患を発症する可能性を持っており,定期的なfollow upが必要と考えられた.またroutine IOCは逆流現象のスクリーニングに有用なmodalityであると考えられた. |
索引用語 |
術中胆道造影, 膵管逆流現象 |