セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-手術治療

タイトル 外P-239:

HyperEye Medical Systemが有用であった胆嚢癌の1切除例

演者 土橋 洋史(国保小松市民病院・外科)
共同演者 束田 宏明(日野記念病院), 内藤 弘之(日野記念病院), 花澤 一芳(日野記念病院)
抄録 【はじめに】HyperEye Medical System(以下,HEMS)は近赤外蛍光を利用した血管,リンパ管,リンパ節のイメージング装置であり,カラーと白黒蛍光画像の2方式蛍光撮影が可能である.カラー蛍光画像でターゲットとなる組織と周辺組織との位置関係が視認でき,補助照明灯用の白色LEDを装備しているため,無影灯がなくても手術操作が可能である.今回,HEMSが切除範囲の決定に有用であった胆嚢癌の1切除例を経験した.【症例】患者は81才女性.近医で胆嚢腫瘍を指摘され,当院に紹介となった.腹部超音波で胆嚢底部に34×29mmの内部不均一な腫瘤を認め,ドップラー信号を有し,肝との境界も一部不明瞭であった.腹部CTで同部に不整形腫瘍陰影あり,やや不均一な造影効果を認めた.Dynamic MRIで比較的強い動脈性濃染し,DWIでも高信号を認め,癌が強く疑われた.腫瘍と肝臓との間に1層のfat planeを認め,肝浸潤は否定的であった. PET-CTで同部にFDG集積を認め,肝内,リンパ節,その他の臓器に異常集積は認めなかった.以上より胆嚢癌, Gf, 3.4×2.9cm, S1, Hinf1, H0, Binf0, PV0, A0, P0, N0, M(-), St(-), T2, Stage2の術前診断下に手術を施行した.肝転移,腹膜播種なく,腫瘍は胆嚢漿膜への肉眼的浸潤なし.最初にICG試薬を腫瘍直上と近位側の胆嚢漿膜下に注入した.腫瘍の漿膜浸潤がないために胆嚢全層切除を先行し,術中迅速で胆嚢癌の確定診断を得,同時にbinf0を確認した.HEMS観察下にNo.12cリンパ節を生検し,転移陰性を確認した.ICGで灌流された領域の胆嚢床切除を行い,hinf0を確認した.切除標本では adenocarcinoma, pap., ss, pHinf1a, pBinf0, pN0, pT2, stage2, int, INFβ, ly0, v0, pn0 であった.術後経過は良好で5ヶ月現在,無再発生存中である.【結論】HEMSは高齢者やハイリスク症例に対する手術の低侵襲化に有用であると考えられた.
索引用語 胆嚢癌, 低侵襲手術