セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-手術治療

タイトル 外P-240:

高度血管浸潤と肝門浸潤をきたした肝内胆管癌に対し肝右3区域尾状葉切除術,下大静脈人工血管置換術,左肝静脈再建術を施行した1例

演者 平谷 清吾(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
共同演者 松山 隆生(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 谷口 浩一(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 森 隆太郎(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 熊本 宜文(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 野尻 和典(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 武田 和永(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 田中 邦哉(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
抄録 症例は54歳女性.健診で施行した腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘された.精査加療目的で前医を受診した.下大静脈浸潤を伴う肝内胆管癌の診断で非切除の方針となり,塩酸ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法を施行された.しかし腫瘍の増大傾向を認めたため初診から4ヶ月後に当科を紹介受診した.腹部CT上,7cm大の肝部下大静脈浸潤および肝門浸潤を伴う肝内胆管癌と診断した.下大静脈合併切除人工血管再建,左肝静脈合併切除再建,門脈合併切除再建,肝外胆管切除,リンパ節郭清を伴う肝右3区域尾状葉切除術を施行した.下大静脈の再建はバイオポンプを用いた体外循環下で肝完全血行遮断(THVE)下に行い,25mmリング付き人工血管グラフトを使用した.左肝静脈浸潤部は部分合併切除し下腸間膜静脈パッチグラフトを用いて再建した.左門脈も合併切除端々吻合再建を行った.手術時間は796分,出血量は3074ml,術中輸血量3170mlであった.術後,体外循環脱血管刺入部の大腿静脈前面にリンパ瘻を認めたが保存的に軽快し,術後16日目に軽快退院した.病理組織学的には腫瘤形成型の中分化型管状腺癌でリンパ節転移も無く切離断端癌陰性で治癒切除であった.術後3ヶ月経過した現在,外来で補助化学療法施行中である.高度血管浸潤と肝門浸潤を伴う肝内胆管癌に対し大血管の合併切除再建を併施することで癌の遺残なく切除が可能であった.文献的考察を加え報告する.
索引用語 肝内胆管癌, 下大静脈合併切除