セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-周術期管理

タイトル 外P-246:

悪性胆道狭窄おける胆道ドレナージの問題点

演者 村上 真(福井大・1外科)
共同演者 藤本 大祐(福井大・1外科), 澤井 利次(福井大・1外科), 森川 充洋(福井大・1外科), 小練 研司(福井大・1外科), 廣野 靖夫(福井大・1外科), 五井 孝憲(福井大・1外科), 飯田 敦(福井大・1外科), 片山 寛次(福井大附属病院・がん診療推進センター), 山口 明夫(福井大・1外科), 大谷 昌弘(福井大・2内科)
抄録 はじめに:胆道腫瘍性狭窄による黄疸は,その原疾患や進行度により対処法が異なる.近年,内視鏡的胆道ドレナージは切除例,非切除例ともに頻用されるが,stentの閉塞や胆管炎の問題は解決されていない.今回は,胆管癌だけではなく膵頭部周囲の悪性疾患を含め,胆道ドレナージが切除例,非切除例に与える問題点を,胆管炎とSSIの発症を中心に検討し考察した.対象と方法:2009年4月から2012年11月の期間で膵頭部周囲の悪性疾患119例を対象とした.減黄処置別に胆管炎を発症するまでの期間と発症率を検討した.膵頭十二指腸切除(PD)術後のSSI(縫合不全を除く)に及ぼす影響を減黄の有無,減黄の方法,術前の胆管炎の有無別でretrospectiveに評価した.結果:対象の内訳は膵頭部癌69例,胆管癌36例,乳頭部癌5例,十二指腸癌2例,その他7例.黄疸を82例に認め79例に減黄処置(ENBD17例, ERBD43例, PTCD11例, PTGBD2例, metalic7例)が施行された.ERBD挿入後の胆管炎は30例(75%)に認め,発症までの期間は中央値44日(8-210日)であった.Metallic stentの胆管炎は1例(16%),中央値120日(20-330日)で有意に優れていた.PD87例の切開SSIは29.9%で,減黄群(47例)は44.7%にSSIを発症し,非減黄群(37例)の2.7%より有意に高かった.特に術前に胆道感染を発症した症例の切開SSIは58.3%と高値であった.考察:胆道ドレナージによる逆行性胆管炎は避けられず,手術症例のSSIに与える影響は大きい.SSI予防には胆汁培養を行い感受性のある抗菌薬を使用するなど対策が必要である.また,黄疸がSSIに与える影響を検討し,減黄処置の適応を明確にする必要がある.結論:今回PDを必要とする悪性疾患を対象に減黄処置の問題点を検討した.術前の短期減黄とSSI予防には,閉塞や感染の有無が確認出来るENBDまたはPTCDを用い,NACや非手術例ではmetallic stentが良いと思われる.
索引用語 閉塞性黄疸, 胆道ドレナージ