セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-周術期管理

タイトル 外P-247:

膵頭十二指腸術後重症合併症の検討

演者 山本 智久(関西医大・外科)
共同演者 里井 壯平(関西医大・外科), 豊川 秀吉(関西医大・外科), 柳本 泰明(関西医大・外科), 西 憲一郎(関西医大・外科DELIMITER関西医大・総合集中治療部), 濱野 宣行(関西医大・総合集中治療部), 廣岡 智(関西医大・外科), 山木 壮(関西医大・外科), 由井 倫太郎(関西医大・外科), 岡本 明久(関西医大・総合集中治療部), 良田 大典(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 【目的】膵頭十二指腸切除術(以下:PD)は高難易度手術であり,術後合併症も依然として高率である.今回,当施設におけるPD術後の重症合併症について検討をおこなった.【方法】2006年4月から2012年9月までに当院でPDを行った連続277名を対象とした.術式はPDllA-1で行い,膵空腸吻合は柿田法変法で行った.合併症はClavien-Dindo分類を用いて評価した.【結果】2以下が224名(81.9%),3a以上が53名(19.1%)であった.2以下の患者と3a以上の患者で,術前および手術因子を用いて,単変量解析で検討した結果,年齢・疾患部位・術後膵瘻発生で有意差が認められた.それらの因子で多変量解析を行った結果,年齢・術後膵瘻発生が3a以上となる有意なリスク因子であった.4a以上は16名(5.7%)であり,原因は肺炎(呼吸不全)7名,敗血症7名,出血1名,循環不全1名であり,全員ICU管理とした.ICU入室時期は術後10日(1-50),入室時のAPACHE2スコア:21(13-59)であり,ICU滞在期間は14日(1-50)であった.人工呼吸器管理を要したのが16名中13名(81%)であり,肝不全・腎不全によりCHDFを要したのが4名(25%)であった.CHDFを要した患者全員で人工呼吸器管理が行われており,全員死亡となった.ICUに入室した16名のうち,7名が死亡となった(死亡率2.5%,ICU入室後43.7%).3a,3bの患者と4a以上の患者を同様に検討した場合,年齢とAlbで有意差が認められ,多変量解析では共に有意なリスク因子であった.【結語】高齢者にPDを行い,術後膵瘻を発症した患者は,重篤な合併症を発症する可能性があり,さらに低栄養の患者は重症化する可能性が示唆された.単一臓器不全の場合は回復が期待できるが,多臓器不全におよぶと致死的となった.合併症を認めた場合,可及的速やかに処置を行い,臓器不全の予防に努めることが重要である.
索引用語 膵頭十二指腸切除, 重症合併症