セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-周術期管理

タイトル 外P-248:

腹腔鏡下胆嚢摘出術における術後胆汁瘻症例の検討

演者 渡辺 伸和(青森厚生病院・外科)
共同演者 白戸 博志(青森厚生病院・外科)
抄録 【目的】腹腔鏡下胆嚢摘出術における術後胆汁瘻について検討した.【対象】平成17年1月から平成24年12月までの8年間に施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)530例のうち,術後胆汁瘻を生じた10例について検討した.【結果】術後胆汁瘻はLC完遂例で5例,開腹移行例の5例に生じた.開腹移行の原因(複数有)は炎症や高度の癒着が4例,出血が2例であった.術前画像検査では,全例とも胆管の走行異常は認めなかった.疾患は胆嚢結石症9例のうち,5例が急性胆嚢炎で,その中の3例が経皮経肝胆嚢ドレナージ(以下PTGBD)を施行されていた.1例が胆嚢腺筋腫症であった.胆汁瘻は術後,平均31.8時間(8時間~第7病日)で確認され,24時間以上の症例も3例認めた.術後胆汁瘻の程度は,Clavien- Dindo分類に対応して作成されたJCOG術後合併症基準をもとにすると,Grade 2/ 3aがそれぞれ5/ 5例であった.治療方法(Grade 3aで重複有)は,術中に留置したドレーン管理のみが5例,ドレーンの入れ替えや,新たな経皮的ドレナージ3例,内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(以下ENBD)の施行が3例であった.胆汁瘻の部位はPTGBDの瘻孔が1例,胆嚢管断端と考えられたもの3例,不明は6例であった.胆汁瘻の改善までは平均9.6日(2~19日)で,その内でENBD留置例は平均12.0日,非留置例は平均8.6日であった.術後在院日数は19.7日(12~34日)であった.【結語】胆汁瘻は急性胆嚢炎症例や,開腹移行例に多かった.稀ではあるがPTGBDによる胆汁瘻も念頭に置く必要があると思われた.術後胆汁瘻の治療はドレーンの管理が基本であるが,重度の胆道損傷が疑われた場合は診断と治療を兼ねたENBDを考慮している.今回は再手術症例がなかったが,適切な評価とドレーン管理により,術後胆汁瘻のほとんどは保存的な治療が可能と思われた.
索引用語 腹腔鏡下胆嚢摘出術, 術後胆汁瘻