セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-その他

タイトル 外P-255:

進行胆道癌に対する集学的治療ー特に術前加療について

演者 田端 正己(三重大・肝胆膵・移植外科)
共同演者 種村 彰洋(三重大・肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大・肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大・肝胆膵・移植外科), 大澤 一郎(三重大・肝胆膵・移植外科), 岸和田 昌之(三重大・肝胆膵・移植外科), 水野 修吾(三重大・肝胆膵・移植外科), 臼井 正信(三重大・肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大・肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大・肝胆膵・移植外科)
抄録 教室では進行胆道癌に対し積極的に血管合切再建を行ってR0切除を目指すとともに,2007年からは術前放射線化学療法(NCRT)を,2009年からは術前化学療法(NAC)を導入した.今回はその治療成績を解析し,進行胆道癌に対する集学的治療,特に術前加療のあり方について検討した.【対象と方法】術前加療後に切除した局所進行或はリンパ節転移陽性胆道癌27例(肝門部19例,肝内6例,胆嚢,下部胆管各1例).術式は肝切除24例(門脈合切11例,動脈合切2例,PD1例を併施),肝門部胆管切除2例,PD 1例.これら27例を術前加療法別に, 1)45Gy NCRT:45Gyの体外照射+GEM800mg/m2の隔週投与3回, 2)36Gy NCRT:36Gy の体外照射+GEM800mg/m2の隔週投与3回, 3)GEM+S1(GS):S1 80mg/body/日(第1-21日投与)+GEM 800mg/m2(第8,22日投与)の4週1コースの3群に大別し,その成績を対比した.3群の術式に大差はなかった.【結果】45Gy NCRT(5例):全例R0で,2例は腫瘍の完全壊死が得られた.しかし3例で術後黄疸が遷延し,うち1例が6ヶ月で死亡した.1例は11ヶ月で再発死したが,残りの3例は27-70ヶ月生存中(あるいは他病死)である.36Gy NCRT(7例):R0は5例であった.術後肝障害発生は無かったが,1例が腹腔内感染にて在院死した.残りの6例中5例は術後15-26ヶ月再発死し,1例が34ヶ月生存中である.GS(15例):平均2.0コース/例施行した.R0は12例であった.2例が合併症死し(重症肺炎,遷延生黄疸),非治癒の1例が再発死した.残りの12例は8-46ヶ月生存中である.術後補助療法(R0切除例) :45Gy NCRT(5例)では施行例はなく,36Gy NCRT(5例)では80%,GS(12例)では75%で導入できた.【まとめ】術前照射のうち45Gy照射は抗腫瘍効果に優れるが残肝障害が危惧され,36Gy照射では残肝障害は認められないが,局所コントロール効果に乏しい.現時点ではGSによるNACを第一選択とし,これに血管合切によるR0切除+術後補助化学療法を加える集学的治療により治療成績の向上を図っている.
索引用語 進行胆道癌, 術前加療