セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-症例 1

タイトル 外P-257:

総胆管十二指腸吻合術後に発症した胆石イレウスの一例

演者 松尾 篤(国保関ケ原病院・外科)
共同演者 宮 喜一(国保関ケ原病院・外科)
抄録 【症例】94歳,女性.既往歴:平成18年5月他院で総胆管結石に対し胆摘,総胆管切開結石摘出術,総胆管十二指腸端側吻合が施行された.現病歴:平成24年9月突然の腹痛と頻回の嘔吐を認め当院受診し精査加療目的で入院となった.【現症】意識レベルは清明,バイタルは特に問題なし.腹部は軽度膨満し右上腹部を中心に圧痛と軽度の反跳痛を認めた.筋性防御は認めなかった.【血液生化学検査】軽度の炎症反応亢進とアミラーゼの増加を認めた.【画像所見】腹部CTで肝内胆管気腫を認めた.胃から十二指腸下行脚にかけて著明に拡張し十二指腸水平脚移行部に含気有する直径30mm程の球状腫瘤認め閉塞起点となっていた.以前のCTを観察すると総胆管内に直径20mm程の類似腫瘤を認めたため総胆管結石の落石による十二指腸胆石イレウスと診断した.【臨床経過】直ちに上部消化管内視鏡を施行した.十二指腸球部に胆管開口部を認めた.そして水平脚屈曲部に残渣をまとった暗茶色の結石を認め破砕しつつ摘出を試みたが,最終的に15mm径の結石本体は遠位腸管に見失い摘出できなかった.この操作でイレウスは解除された.しかし2日後再び腹痛と嘔吐認め腹部CTで同様球状腫瘤による小腸イレウスを認めたためイレウス管を挿入,保存的に経過を追ったが球状腫瘤が排出される兆候が全くみられなかったためイレウス管挿入後4日目に手術を施行した.【手術所見】画像で確認した腫瘤近傍の正中で小切開開腹,イレウスチューブ先端肛側小腸にゴルフボール大の腫瘤を認めた.回腸末端から150cm部位であった.小腸を横切開し48×26×25mm大の緑茶色の腫瘤を摘出,切開部を縫合閉鎖し手術を終了した.【経過】術後経過は良好で術後14日目には退院可能となった.【結語】胆石イレウスは胆石症の0.05%~1.5%に発症し,全イレウスの0.05%~1.0%とされ比較的稀な疾患である.胆石の腸内への排出経路は胆嚢十二指腸瘻が80%以上を占めるが,自験例のように胆管消化管吻合術後の総胆管結石再発によるイレウス報告例は数例のみである.文献的考察を加え報告する.
索引用語 胆石イレウス, 総胆管十二指腸吻合