セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-症例 2

タイトル 外P-265:

稀な胆嚢管癌原発内分泌細胞癌の1例

演者 八島 玲(福島県立医大・器官制御外科)
共同演者 安藤 仁(福島県立医大・器官制御外科), 岡田 良(福島県立医大・器官制御外科), 志村 龍男(福島県立医大・器官制御外科), 小山 善久(大原綜合病院・外科), 竹之下 誠一(福島県立医大・器官制御外科)
抄録 胆道系の内分泌細胞癌は非常に稀な疾患で,特に胆嚢管原発のものは本邦でも5例の報告を認めるのみである.今回我々は胆嚢管に原発し多発肝転移を伴う内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例は64歳男性.上腹部通を自覚し某年10月21日にA病院を受診しPPIを処方されたが症状軽快せず翌日再診し,急性胆嚢炎の診断にてB病院を紹介され入院した.造影CTなどの画像診断より,胆嚢頚部への結石嵌頓,胆嚢周囲炎の診断にてPTGBDを施行された.待機的に胆嚢摘出術を行う方針となりB病院を退院したが,より早期の治療を希望し11月7日にC病院を受診.造影CTでは肝S4におよびS2/3に早期に造影される肝腫瘍を認めた.11月19日に精査加療目的に当科紹介され受診.Dynamic CTでは胆嚢管に9mm程度の早期濃染する腫瘍像と肝S4に6cm大,S2/3に1cm大の早期に造影され速やかにwash outする腫瘍像を認めた.MRIでは上記病変以外にもhypervascularな微少結節が肝内に複数認められ,HCCやangiosarcoma,消化器原発のカルチノイドの転移などが疑われた.EUSでは胆嚢管を首座に8mm大の比較的円形の腫瘤あり,腫瘍は胆嚢管から総肝管側に一部が突出していた.ERCPでは胆嚢管から三管合流部に突出する腫瘍欠損像を認め,生検された.IDUSでは中部胆管に限局性の腫瘍を認めたが,周囲胆管への進展は認められなかった.生検の結果,核異型を伴った円柱上皮細胞からなる小細胞癌形態を示し,免疫染色ではChromogranin A,Synaptphysin,CD56陽性を示し,小細胞癌(神経内分泌細胞癌)と診断された.このため,肝腫瘍は胆管原発の神経内分泌細胞癌の転移である可能性が高いと考えられたため,診断確定目的に肝生検を施行したところ,肝S4,S2/3の腫瘍はいずれも神経内分泌細胞癌の肝転移と診断された.神経内分泌細胞癌は胆道系の癌のなかでも特に予後が不良であるとされ,有効な化学療法は確立していないが,肺の小細胞癌に準じた化学療法が有効であるとする報告もあり,本症例も現在CDDPとVP16の併用療法を施行中である.
索引用語 胆嚢癌, 内分泌細胞癌