セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-症例 2

タイトル 外P-267:

再々発を来したintraductal papillary neoplasmの1例

演者 宮田 隆司(富山県立中央病院・外科)
共同演者 清水 康一(富山県立中央病院・外科), 櫻井 健太郎(富山県立中央病院・外科), 寺川 裕史(富山県立中央病院・外科), 松井 大輔(富山県立中央病院・外科), 渡辺 徹(富山県立中央病院・外科), 川原 洋平(富山県立中央病院・外科), 木下 淳(富山県立中央病院・外科), 天谷 公司(富山県立中央病院・外科), 寺田 逸郎(富山県立中央病院・外科), 山本 精一(富山県立中央病院・外科), 加治 正英(富山県立中央病院・外科), 前田 基一(富山県立中央病院・外科)
抄録 症例は66歳女性.2008年にB2胆管の限局性拡張を認め,胆管内腫瘍疑いに対して肝左葉切除を施行された.切除標本の病理診断では胆管内乳頭粘液性腫瘍(IPN),非浸潤癌であり,左胆管断端への波及は認められなかった.その約1年6カ月後の定期検査にて,肝機能異常を認めた.画像検査より,上部胆管内に腫瘤性病変を認め,IPNの再発疑いにて肝外胆管切除,胆道再建術を施行された.切除標本の病理診断では前回同様の組織像を認めるIPN(adenoma~adenocarcinoma)であり,胆管断端浸潤は陰性であった.前回が非浸潤癌であることと,背景粘膜には過形成や異形成像は見出せないことより,多発発生や転移より,implantationの可能性が大きいのではないかと考えられた.その後経過は良好であったが,約2年後の経過観察腹部CTにて,膵内胆管に同様の腫瘤性病変を認め,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行された.病理診断は現行のWHO分類によれば,IPN with intermediate~high grade intraepithelial neoplasiaと考えられた.2回目同様に多発発生の原因となる異型粘膜は指摘困難であり,再々発が最も考えられた.近年胆管内乳頭粘液腫瘍の概念が普及し,更に2010年にWHOの消化器腫瘍の組織分類が10年ぶりに改訂があり,肝内胆管および胆道に関しての前癌・早期の癌病変(上皮内病変intraepithelial neoplasm)が,大きく平坦型BilIN と乳頭型病変IPN に分類され,それぞれの異型度の規準が示された.今後はこれら名称を用いた臨床研究が期待される中,IPNの再々発を認めた非常に稀な1例を経験したので報告する.
索引用語 胆管内乳頭粘液性腫瘍, 再々発