共同演者 |
小林 慎二郎(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 西尾 乾司(川崎市立多摩病院・消化器・一般外科), 石井 将光(川崎市立多摩病院・消化器・一般外科), 朝野 隆之(川崎市立多摩病院・消化器・一般外科), 小泉 哲(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 中野 浩(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科), 干川 晶弘(聖マリアンナ医大・診断病理学), 藤野 節(聖マリアンナ医大・診断病理学), 高木 正之(聖マリアンナ医大・診断病理学), 朝倉 武士(川崎市立多摩病院・消化器・一般外科), 大坪 毅人(聖マリアンナ医大・消化器・一般外科) |
抄録 |
症例は60歳代,男性.2007年腹痛と発熱を主訴に来院,下部胆管狭窄による閉塞性黄疸で入院となった.胆管に造影効果のある壁肥厚を認め,胆汁細胞診でadenocarcinomaが指摘された.以上から下部胆管癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理結果でmoderately to poorly differentiated adenocarcinoma,ss,Hinf0,Ginf0,panc1a,Du0,n1, Stage3と診断した.TS-1による補助化学療法を施行していたが術後1年3ヶ月後のCTで肝S8に径50mm,S6に15mmの腫瘍性病変が出現した.CA19-9が43.4U/mlと軽度上昇していたが,その他の腫瘍マーカーは正常値であった.肝腫瘍は造影早期相でやや不均一だが強く濃染され,遅延相では周囲のみ造影効果が残り,内部はwash outされてring enhance様であった.画像診断が特徴的であったことから肝細胞癌と診断,他臓器に明らかな腫瘍性病変やリンパ節腫大を認めなったことから予後因子になると判断し肝S6,S8部分切除を施行した.肝腫瘍の病理組織像は低分化な腫瘍でNSE+,Chromogranin A+,Synaptophysin+,CD56+であったことから腺内分泌細胞癌と診断した.肝腫瘍の病理診断を受け,胆管癌の摘出標本に免疫染色を追加したところ肝腫瘍と同様の染色性を示したことから下部胆管腺内分泌細胞癌とその肝転移と最終診断した.肝切除から1年5ヶ月後(初回手術から2年8ヶ月後)に肝S7に転移を認めRFAを施行,さらにその3か月後に胆管内再発を認めIP療法(CDDP+CPT11)を施行したが初回手術から3年6ヶ月後に死亡した.胆管原発の腺内分泌細胞癌は非常にまれであり,また予後不良とされている.本邦の報告例および近年報告されている治療法を含め文献的考察を加え報告する. |