セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胆道-症例 3

タイトル 外P-271:

多彩な分化を示した膵・胆管合流異常に合併した胆嚢腺内分泌細胞癌の一例

演者 鈴木 慶一(北里大北里研究所病院・外科)
共同演者 四倉 正也(北里大北里研究所病院・外科), 金田 宗久(北里大北里研究所病院・外科), 大作 昌義(北里大北里研究所病院・外科), 浅沼 史樹(北里大北里研究所病院・外科), 山田 好則(北里大北里研究所病院・外科), 森永 正二郎(北里大北里研究所病院・病理診断科)
抄録 症例は54歳,男性.検診で以前より胆嚢壁の肥厚を指摘されていた.今回胆嚢の全周性肥厚の増悪と肝右葉内の多発性腫瘤陰影を指摘され,当院紹介となった.CTでは胆嚢内にenhanceされる腫瘤性病変を示し,肝右葉内には低吸収腫瘤が多発し早期濃染を示した.ERCPでは胆嚢は造影されたが,明らかな腫瘍像は認めなかった.総胆管径14mmで軽度拡張しており,膵・胆管合流異常が疑われた.胆汁内Amy 144,100であった.EUSでは胆嚢壁の不整な肥厚と内腔への乳頭状の隆起を認めた.漿膜は可視範囲は全て保たれ肝への浸潤も認めなかった.以上より胆嚢癌多発性肝転移と診断した.肝転移は片葉であること,他の遠隔転移は認めないことから,NACおよびwaitingの意味も含め,GEM+CDDP療法を先行する方針とした.2 kr施行した時点のCTでは,肝転移巣はSDであった.他の遠隔転移は出現せず,本人の強い希望もあり手術の方針とした.PTPE施行後約4週間おき,拡大右葉切除+尾状葉切除+胆管空腸吻合術,D2郭清を施行した.術後経過良好で12PODに退院した.現在GEM+CDDP療法継続中である.病理組織診断はAdenoendocrine cell carcinoma, 乳頭浸潤型, 3.2×2.4cm, ss, int, INFβ, ly0, v3, ne1, pHinf1a, pBinf0, pPV0, pA0, pBM0, pHM0, pEM0, n(-), M1, pStage IVbであった.胆嚢底部は乳頭状発育を示し乳頭腺癌と診断した.壁内浸潤部は一部に高分化管状腺癌の像を示すも,多くは多角性細胞が充実性の包巣を形成し密に増生していた.同部の免疫染色ではChromogranin(+), Synaptophysin(+), CD56(+), AFP(-)で神経内分泌細胞癌と診断した.また粘膜表面に著明な硝子様線維化を伴って隆起性腫瘤を形成しており,類骨への分化も疑われた.内分泌細胞癌の組織発生には1)先行した一般組織型腺癌から発生,2)非腫瘍性多分化能幹細胞から発生などの諸説があるが,自験例は発生過程を推測するにも大変興味深い一例と思われた.
索引用語 胆嚢腺内分泌細胞癌, 膵・胆管合流異常