セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-手術治療 3

タイトル 外P-284:

大腸がんイレウスに対し大腸ステント挿入後に手術を行なった8例の検討

演者 山口 明浩(公立山城病院・消化器科)
共同演者 菅沼 泰(公立山城病院・消化器科), 小池 浩志(公立山城病院・消化器科), 氏家 和人(公立山城病院・消化器科), 新井 正弘(公立山城病院・消化器科), 黒田 雅昭(公立山城病院・消化器科), 川端 利博(公立山城病院・消化器科), 坂上 共樹(公立山城病院・消化器科), 石破 博(公立山城病院・消化器科)
抄録 大腸がんによる狭窄に伴ったイレウスの際には,人工肛門造設や経肛門的イレウス管挿入による減圧が行われてきたが2012年1月より大腸狭窄に対し大腸ステント(SEMS:self-expandable metallic stent)が保険収載され,当院でも使用されるようになった.当院では,2012年8月から2013年1月の6ヶ月間に姑息的留置を含め15例に使用された.2011年1月から2012年7月までに経肛門的イレウス管が挿入された6例と比較検討された結果では,絶食期間についてはSEMS群が6.2日,イレウス管群が19.3日で有意に短縮したと報告した.またステント留置により穿孔症例はないが,挿入後の疼痛が42.8%に認め,血便を14.2%に認めたと報告した.SEMS群では8例が大腸がん切除術を行なったが,経口摂取を再開継続することができることから,周術期の管理は容易となりイレウスによる栄養障害の改善や消化管の状態改善に加え,生活の質を維持して待機手術を行うことができた.待機期間が安定していることから術前に徐脈性心不全を認めた症例に対しペースメーカを留置し循環動態を安定化したのち手術を施行できた.術中所見で口側大腸の拡張や浮腫は認めず,1期的吻合に問題ないと診断し全て吻合し,縫合不全は認めなかった.周術期の合併症としては糖尿病を背景因子に持つ1例に創部SSIを認めた.以前から大腸ステント挿入後の手術症例の報告はあるが,保険収載されたことから当院のような一般市中病院でも大腸ステントを使用することができるようなった.大腸がんによるイレウス症例に対してSEMSを挿入した症例を経験したが,SEMS挿入後,安定した周術期を過ごし生活の質を維持することが可能となり,一期的吻合による待機手術が行えるようになったことから,大腸ステントは有用であると考えられた.
索引用語 イレウス, 大腸ステント