セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-手術治療 3

タイトル 外P-287:

結腸癌手術の主リンパ節郭清に意義はあるか?

演者 橋爪 正(むつ総合病院・外科)
共同演者 小田切 理(むつ総合病院・外科), 小笠原 紘志(むつ総合病院・外科), 山田 恭吾(むつ総合病院・外科), 松浦 修(むつ総合病院・外科), 池永 照史郎一期(青森市民病院・外科), 遠藤 正章(青森市民病院・外科)
抄録 【目的】結腸癌リンパ節転移(以下,LN+)の分布と治療成績から主リンパ節郭清効果を検討した.【方法】1985-2009年にA病院外科で施行したm癌を除く結腸癌初回治癒切除1140例(右側癌552例,左側癌588例)を後向きに解析した.【成績】右側癌は左側癌に比べて高齢者比率が高い(69.1歳 vs 65.8歳).LN+率は右側癌37%(204/552),左側癌35%(206/588),領域別に結腸傍LNは右側24%,左側26%,中間LNは右側8.5%,左側8.7%,主LNは右側4.9%,左側0.7%の頻度である.壁深達度別LN+率はsm,mp癌が右側14%,左側18%でありすべて結腸傍LNまたは中間LNに限局していた.右側SS癌のLN+率は38%(結腸傍LN26%,中間LN8%,主LN3.8%),左側SS癌のLN+率は40%(結腸傍LN30%,中間LN10%,主LN0.7%)である.右側SE癌のLN+率は53%(結腸傍LN30%,中間LN12%,主LN11%),左側SE癌のLN+率は50%(結腸傍LN31%,中間LN17%,主LN1.8%)の頻度である.右側SI癌のLN+率は47%(結腸傍LN18%,中間LN24%,主LN6%), 左側SI癌のLN+率は29%(結腸傍LN18%,中間LN12%)である.LN+の平均転移個数は右側2.5個(結腸傍LN1.8個,中間LN3.0個,主LN5.1個),左側2.5個(結腸傍LN2.0個,中間LN3.7個,主LN 4.5個)である.跳躍転移は右側5%(中間LN2.5%,主LN2.5%),左側2.4%(中間LN2.0%,主LN0.3%),10cmを超える軸方向の結腸傍LN+は右側1.3%,左側0.9%である.累積5年生存率は右側LN+なし90%(n=348),結腸傍LN +77.6%(n=130),中間LN+71.8%(n=47),主LN+80%(n=27),左側癌LN+なし91.5%(n=382),結腸傍LN+81.5%(n=151),中間LN+74.9%(n=51),主LN+75%(n=4)であった.【結論】SS以深のLN+は10%前後が中間LNに,右側癌の6%は主LNに分布する.LN+の範囲によらず系統的D3郭清により一定の遠隔成績が確保されており主LN+への郭清効果が確認された.右側癌D3郭清範囲は静脈幹前面の完全郭清と主要動脈起始部郭清が妥当(上腸間膜動脈本幹の広範囲郭清は不要)である.一方,左側癌は主LN+頻度が低く左結腸動脈温存253LN郭清が妥当である.
索引用語 主リンパ節転移, 郭清効果